■「言い方が悪い」と論点をすり替えてモラハラをする人
相手のおかしさや意見が違うことを伝えようとしたのに、いきなり「言い方が悪い」と論点を逸らされて話にならない。
お願いを伝えようとしているだけなのに、「責められた」と被害者意識を持たれて、逆に自分が悪いと責められてしまう…。
このように相手の主張を無視して論点をすり替え、主張してきた相手の話し方が悪いと批判する人がいます。
特に相手が話す声のトーンが悪いと批判することが多く、その手法はトーン・ポリシングと呼ばれます。
※ポリシング(取り締まり)
■都合が悪いと論点をずらそうとする手法
トーン・ポリシングは話の論点をずらして、批判の矛先を自分から相手へ変えてしまう手法です。
問題点について議論したくて話を持ち掛けているのに、議論に自信がないからと相手の問題にして逃げるのです。
そうすることで相手の主張を封じようとします。
トーン・ポリシングは相手の主張を無視するという意味です。
基本的に両者の関係に上下の差があり、優位に立つ側が自分にとって不都合な議論をされたとき、議論から逃げるために用いることが多いです。
支配関係の男性と女性のパターンで、女性が関係に耐えかねて男性を批判したとします。
女性にしてみると我慢を重ねた結果ですから、当然声高になってしまうのも理解できます。
すると男性は女性の主張をスルーして、女性の声のトーンを批判し始めるのです。
批判だけでなく傷ついたのは自分のほうだと、被害者意識を丸出しにして女性を攻撃します。
特に女性は「ヒステリック」「感情的」などと言われてトーン・ポリシングの攻撃対象になりやすいのです。
そうして主張を単なるワガママのように扱われてしまい、発言の価値を値引かれてしまいます。
支配する側がされている側の主張を封殺するには、トーン・ポリシングは実に都合のよい手段です。
批判の矛先をすり替えられて逆に責められた相手は、主張を受け止めてもらえず自己嫌悪に陥ることでしょう。
■日常の中のハラスメントにも
我慢に我慢を重ねた人が実際に「声をあげる」までには、それまでずっと耐えてきた経緯があります。
限界に達したからこその強い声のトーンだと言えます。
ハラスメントのおかしさに気がついて、これ以上我慢できない!となって声を上げたとき。
論点をずらされて訴えを封殺されることが多くあります。
自分の思う通りにいかないと無視というモラハラをする夫に、何度も止めてほしいと訴えても無視をされ続けた妻が、
冷静なトーンではなく強い口調で感情的に抗議をしたところ、
「妻の酷い言い方が責められているように感じる」
「自分は一方的に理不尽な目に遭っている」などと言って、夫の問題を妻の問題にすり替えて被害者意識を出すのです。
ずっと抑圧されていた人が遂に声をあげるとき、分かってもらいたくてつい冷静さを欠いてしまいます。
それまでの鬱憤が溜まりに溜まっているわけですから、やむを得ないですし当然とも言えるでしょう。
しかし声を上げた人の声のトーンを非難する人は、本来議論すべき内容は無かったことにして、
話し合って状況を改善することは絶対にありません。
要は自分への非難を交わすためのモラハラなのです。
■言い方が悪いと逆に非難する人の本性
私もかつて同じようなモラハラを受けたことがありました。
親しい間柄の人と交わした約束を信用していたのに、変更も告げられず一方的な反故にされることが続きました。
反故にされたとき私は「変更が分かった時点で伝えてほしい」
そうお願いしたのですが同じことを何度も繰り返されました。
強く言わなかったから軽く捉えられたのかもしれません。
一度や二度ならば受け流すことができますが、同じことが何度も続いて実際に損害を被ったため、遂に堪忍袋の緒が切れて強い口調で改善を要求しました。
すると「あなたの言い方が悪いし責められていて苦痛だ」
と、言われるだけで謝罪もされず議論にもならなかったのです。
「あなたは黙って笑っていればいい」とまで言われる始末。
私の主張はすり替えられて蔑ろにされてしまいました。
その人物が言いたいことを要約すると、
「約束が守られないくらいで責める方が悪い」
「おまえに文句を言われる筋合いはないし黙って従っておけ」
「約束なんて状況が変われば約束も変わるものだ」
ということなのです。
「言い方が悪い」などと言って論点をずらす人は、自分にとってその方が都合良いのでそうしています。
自分の良いように人を使う関係が心地よいのでしょう。
あなたの人生はあなたの自由に決めて良いのです。
本来背負う必要のない責任まで背負わされていませんか?
自分の主張だけでなくあなたの主張も尊重してくれるような、対等で良好な人間関係を大事にしてくださいね。