Scroll Top

毒親がもたらした不幸

名称未設定のデザイン (7)

カウンセラーコラム#8

毒親は死ぬまで毒親であり続ける

もう何年も親と会っていない30代男性。

親は関係を繋ぎ止めたいと連絡を試みるが、男性は全ての連絡手段をブロックしたまま。

ここに至るまでには幼少期から長年の葛藤があったそうだが、あるきっかけから親を完全ブロックすることができた。

親と関わらなくなってからの数年は、若干の後ろめたさはあっても比較的心穏やかな日々が続いているそう。

逆に親子関係が元通りに戻ることは全く想像できないとまで語る。

発達障害(ASD)と強度の自己愛性人格障害とおぼしき父親、自己肯定感が低く依存性が強い母親。

父親の毒に侵され、母親はカサンドラ症候群に、子供(男性)はアダルトチルドレンという典型例に。

男性は一般社会に出るまで、自分の家族形態の異様さに全く気が付かなかったそうだ。

社会人になって初めて、他人から毒親の危険性について聞かされて衝撃を受ける。

親との関係性に不安を感じるのは自分が悪いのだと思い込んでいたため、

最初は他人の話をにわかに信じられず、完全な人間不信に陥ったのだという。

男性の恋人がずっと寄り添ってくれ、男性の人間不信は徐々に解かれていった。

それと同時に、他人が話してくれた毒親についての認識が、自分の中でハッキリと受容出来たそうだ。

恋人が「隣から」示し続けてくれた「共感」、これが男性の頑なな自己否定を氷塊させたのだろう。

なぜならば男性は、その「共感」を親から一回ももらった記憶がなかったからだ。

毒親が形成する親子関係の不幸

男性が親子関係を絶縁してから数年が経過するが、

両親は子に捨てられた思いからか数度アクセスを試みようとしている。

最近では祖母が危篤だからとメールが来たそうだが、そのメールには男性を思いやる言葉は記されておらず、

危篤だから会いに来い、葬式に出てこいという勝手な都合のみ書かれてあったとのこと。

父親にとっては家族は自分都合の「修飾物」であり、それを失った自己肯定感の損失が耐えられないのだろう。

不幸なことに、そもそも毒親は自分を内省するという思考が欠落しており、

また、自己肯定感を傷付けられることは徹底的に避ける傾向にあるため、

「上手くいかないこと」は全て他責であり、周りの問題だと認識してしまう。

そのためこの親は、息子(男性)が絶縁した理由は男性自身にあり、

そう思わせた男性の周り(恋人)の問題だと思い込んでしまっているのだ。

こうなると親子関係は双方にとって不幸でしかなく、親子が親子である必要性すら問われる問題となる。

毒親は大切にしなくていい

性善説で考えがちな良心のある人ほど、理不尽な扱いを受けた時でも「その理由」を考えてしまう。

特に親からされた理不尽な言動を、子供は「自分のせい」だと思って傷ついてしまうことが多い。

自己愛性人格障害の毒親は、家族を自分の修飾としか捉えていないため、

子供が親にいくら共感を訴えたところで、他人軸がない彼らの心には全く響かない。

人の生まれ持った性質や後天的に培われた性格は一生変わらない。

ゆえに毒親は一生毒親であり、毒だと感じているのであれば被害者は手放すより他の方法はない。

一般的に毒親は「外ではいい人」であることが多く、社会的には成功した人が多い。

その裏で近しい人間や家族にはその本性が出る「内では加害者」であることが多いという二面性を持つ。

そのため子供は「外での評価と内での実感」の二面ギャップに苦しみ続け、

結果「自分が悪いからいけないのだ」と思い込むネガティブスパイラルに陥ってしまうのだ。

最終的に毒親にとって加害先は「家族」しかなくなるため、毒を認識した時点で絶縁し逃げるのは極めて正しい。

毒になる人間を大切にする必要はなく、自分を大切にしてくれる人間を大切にすることである。

毒親の原因は毒親自身にあり、モラハラの原因も全て毒親にある。

被害者である家族はまず自分の問題ではないことを認識し、早々に関係を断ち切ることより他の方法がない。

親だからと世間一般の括りから大切にしなければならない、という画一的な見方からは離れてみよう。

人間は親子であっても夫婦であっても「個」であるのだから、まず自分自身を大切にすることを忘れてはならない。

Related Posts