聞き上手と話したがり
「聞き上手」。
一般的には素晴らしい能力だと言われています。
しかし、毒親育ちの場合は、素晴らしい能力とは言い難い側面があります。
なぜなら、生育歴の中で「いつも親の愚痴の聞き役になっていた」からです。
親のフォローばかりしていたために、聞き上手が備わったのだとしたら、その能力も本末転倒でしょう。
この毒親育ちの場合、もうひとつ真逆な側面を併せ持ちます。
それは「聞いてもらいたがり・話したがり」というものです。
生育歴の中で、親が子供をサンドバック代わりにして、感情や愚痴のぶつけ場所にしていた場合。
子供はそれを受け留めるだけで、自分自身が聞いてもらう側に立てなかったため、自己肯定感が下がってしまいます。
また、大人になってその埋められていない「心の穴」を埋めようと必死になるでしょう。
コミュニケーションの中で、
「自分の話ばかりする」
「相手の話に興味を持たない」
「人の話にカットインして自分の話に変えてしまう」
というシーンを経験したことがあると思います。
それは、その人物が毒親育ちである可能性が高く、生育歴で親の受け留めが不十分だったのかもしれません。
そうなると、他人から距離を置かれてしまう可能性がありますから、余計に自己肯定感を拗らせる原因となります。
この場合、毒親育ちは「聞き上手」と「話したがり」を繰り出す場所を、
経験則から上手に使い分けるため、問題が分かりにくいという側面もあり要注意です。
そもそも論。
親が子供の話を聞くということは、子供に「あなたは大切な存在」だとする大事なメッセージです。
親から認められ、受け入れられたと感じると、子供の自己肯定感はまっすぐ成長していきます。
その逆に、親が自分の話ばかりして、子供の話を子供の目線で聞かずにいると、
「あなたは二の次」というメッセージになり、子供の自己肯定感は低くなる一方です。
毒親育ちの場合、「あなたは大切な存在」というメッセージを受け取らなければならない大事な成長期に、
親から「親を重んじろ」と圧力を受けてきたのですから。
生きる上で重要な「自分を一番大事にする」ということや、
ありのままの自分を受け入れるという「自己肯定感」が育たないのは当たり前なことかもしれません。