Scroll Top

離婚調停の実際・法律婚の限界

 

48歳・夫
46歳・妻
結婚20年、子供17歳

その他複数事例あり

 

■調停委員は弱者の味方ではないの?

夫婦が離婚へ向けて協議をもっても紛糾し上手く進まず、

家庭裁判所で話し合いの場を持つ「夫婦関係調整調停」と呼ばれる制度があります。

 

私の友人(妻)も過去、夫との離婚に際し条件で紛糾し調停制度を利用しました。

その調停の中で、財産分与のため夫は妻子にマンションを明け渡すよう求め、

調停委員も妻と子供はマンションから退去すべきだとしたのです。

 

離婚の話が出た時、夫は単身赴任先の社宅に住んでおり、

妻子は結婚時に購入していたマンションに居住していました。

 

調停を始めて二か月もしないうちに夫側から、

「単身赴任が終了したのでマンションへ戻る。同居が嫌なら引っ越して。」

と離婚前提の別居中にもかかわらず急な申し出があったのです。

 

離婚の話が紛糾している最中にそんな申し出は当然受けられません。

調停で「離婚完了までは別居」という判断をしてもらえるものと思っていた妻は、

調停委員に夫の申し出を拒否する旨を話したのです。

 

すると調停委員の口から驚くべき言葉が飛び出しました。

「マンションは夫名義なので嫌なら出ていくべき。」

こちらが求めていた財産分与や婚姻費用は話が進まないのに、

夫が求めてきた「マンション退去」は離婚合意しているのだからと、

夫の主張を揉むことなく丸のみする調停委員とはいったい…。

 

ちなみにマンションは夫名義ではあるけれど、夫婦共有財産なのですよね。

 

 

■面会交流権に取り憑かれた調停委員

30代妻、小学生のお子さまを持つ方の事例。

 

夫の不倫とパワハラに耐えかねて家を飛び出した妻、

夫と直接の協議ではパワハラが不安なため調停を申し立てました。

 

調停委員はパワハラに理解を示してくれました。

婚姻費用は一回の話し合いで決まりましたが、

離婚は調停を不調として裁判へ移行するようアドバイスをくれたのです。

 

すると夫は子供との面会交流と婚姻費用減額の調停を申し立ててきました。

 

夫は「面会出来れば養育費減額は無し」という申立てでしたが、

話し合いが揉めると途中で調停委員が意見を180度変えて、

「審判へ進むと全部夫の要求通りになるから、面会交流に応じるのはルールだ」

妻にとって調停委員の発言は青天の霹靂でした。

 

女性は調停でのトラブルにショックを受けてしまい、

当サロンへインフォームドコンセントを求めに来ました。

そして当サロン経由で弁護士へ依頼することに(ここまで弁護士は付けていなかった)

 

夫の嫌がらせに調停委員からは突き放されたような発言。

自分では対処しきれなくなって弁護士に依頼せざるを得なくなり、

弁護士費用やカウンセリング費用という金銭的負担までが重なってしまいました。

 

これは問題を抱える女性にとってあまりの仕打ちではないでしょうか。

 

 

■調停委員は法律の専門家ではない

厚生労働省発表の人口動態統計によると、令和3年の離婚件数は18万4386組。

夫婦の協議離婚が成立するのはそのうちの8〜9割にあたり、

残り1〜2割は離婚調停へ進むことになります。

 

その調停を担う調停委員とはどのような方達なのでしょうか?

以下は家庭裁判所のHPからの抜粋です。

 

↓↓↓引用始め

調停委員は調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や、

専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。

具体的には原則として40歳以上70歳未満の人で、

弁護士・医師・大学教授・各士業などの専門家のほか、

地域社会に密着して幅広く活動してきた人など各分野から選ばれています。

↑↑↑引用終わり

 

「調停委員=法律家」ではないのにもかかわらず、

権威を笠に着たように上から物を言う人も残念ながら居ることも事実です。

前述のように根拠なく「裁判になれば負ける」 という物言いがそれです。

専門家でもないのに調停委員個々の常識を笠に決めてかかる言い方。

 

何故そのようなことが起こってしまうのか?

それはひとえに調停委員の目的は「調停成立」だからなのではないでしょうか。

 

有利不利にかかわらず夫婦双方を如何に歩み寄らせるか、

ここが調停委員の役割なのです。

 

もしもこちらの条件を一切考慮してもらえずに、

一方的に相手の条件を呑むように言われたのならば、

それは調停委員に 「丸め込める相手」 と読まれたということかもしれません。

調停は折れてくれそうな相手へ強く出る傾向にあるのです。

 

 

■離婚調停に法律的な意味はあまりない

調停委員の平均年齢は50~60代であり、ひと世代前の価値観とは異なることもあり、

夫婦問題の根底をきちんと理解出来ないばかりでなく、

男尊女卑の価値観が根深くあることも影響していると思われます。

 

更に、裁判所が定める婚姻保護や子供との面会交流の権利が、

時にパワハラやDV被害者の人権より強いこともあることが実情です。

 

それが社会的立場の弱いシングルマザーにとって、

離婚調停は精神的に非常に辛く、生活にも大きな影響を与えているのが現状です。

 

そもそも論…

この国の法律婚の法制度そのものに歪みがあり破綻を来していると、

離婚問題の現場にいるものは強く感じざるを得ません。