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モラハラからストーカーとなった彼氏

 

35歳独身男性
30歳独身女性
交際二か月

 

■マッチングアプリで意気投合したものの

お互いに結婚を意識した出会いを求めてマッチングアプリに登録。

ほどなくして居住地も近い二人はマッチング、実際会うまでに時間はかかりませんでした。

 

趣味で重なる部分はありませんでしたが、出身県が同じだったことから話が盛り上がり。

運よくマッチングアプリで出会った男女はすぐに恋に落ちました。

 

彼は準公務員、彼女はアパレルの店員。

趣味もそれぞれ異なるジャンルだったことと、休みのパターンも異なっていたので、

時間の使い方や遊び方、友達の関わりなども全く違っていました。

そんな中でもふたりは時間を合わせては一緒に過ごす時間を作り、

当初はとても親密で誰もがうらやむであろう恋人同士でした。

 

彼女が彼と彼の会社の友達たちと飲みに行った時のこと。

彼の友達が発した「上司に結婚すると報告したんだってな」

この一言が彼女を一瞬で不安にさせました。

 

どういうことなのか彼に話を聞いたところ、彼は悪びれもせず「どうせ結婚するでしょ」

知り合って2カ月目であり、結婚が目標ではあるがすぐに進めるつもりもありません。

 

何よりも彼女に一言の断りもなかったし、結婚の二文字が出たこともなかったのに、

どうしていきなり上司への結婚報告になるのか、彼女は訳も分からず不安になるばかり。

 

そこに彼女の不安顔を察した彼が高圧的に「結婚すると報告したのだから結婚しかないよ!」

怖い顔で迫る彼に、彼女は恐怖を感じてしまいました。

 

 

■彼の勢いが恐ろしく感じて…

彼は会社の寮に住んでいたため、彼女の独り暮らしのアパートにほぼ毎日来ていました。

前述した飲み会のあとも、当然のように彼女のアパートに来ることになったため、

彼が話していた結婚の件についてふたりで話し合いをすることになりました。

 

彼女はまだ結婚まで具体的に考えていないこと。

二か月でお互いのすべてを理解するのは時間的に短すぎること。

結婚が目的で知り合ったが、もう少しゆっくり関係を深めていきたいこと。

 

彼女が彼にこう伝えると、彼は顔色を曇らせながらこう言いました。

結婚がゴールと思って付き合うことにしたので、もう結婚の機は熟したと思っている。

両親にも会社にも結婚の意思を伝えたので、すぐにでも式を挙げると決めていた。

好きなので自分のモノになってほしいし、いつもふたりで過ごして欲しい。

正直、彼女が友達や会社の同僚などと遊ぶことは快く思っていない。

 

彼女は彼の要望を聞いて嬉しく感じることはなく、寧ろ背筋が寒くなる思いだったそうです。

そして怒らせないように、これ以上執着が強まる前に別れたいとしか頭にありませんでした。

 

 

■距離を置いたらストーカー化した彼

その翌週から仕事が忙しいという理由を伝えて、一緒にいる時間を徐々に減らしていったところ、

案の定、彼の反応が明らかに怖くなっていきました。

 

仕事が忙しいのなら終わるまで近くで待ってるから一緒に帰ろう、

休みの日は必ず泊まるから友達と予定を入れるな、

友達の連絡先やLINE登録・電話番号を削除しろ、

実家に頻繁に帰るなんて大人がやることじゃない、

実家に帰るなら自分も一緒についていくから挨拶をさせてくれ、

要求がドンドンエスカレートしてきて、それを断ると不機嫌を露わに恫喝してきます。

ある時には話し合いをしている最中に飲みかけのペットボトルを投げつけられました。

 

もうこれ以上は怖くて限界だと感じ、彼女は当サロンに助けを求めることに。

カウンセリングの結果、彼女は彼に別れを切り出す決意を固めました。

会って別れ話をするのは危険なため、カウンセラーはLINEで別れを告げるよう勧めました。

LINEで別れを告げるように勧めたのは、もしもトラブルになった際の証拠となるからです。

 

LINEでメッセージを送ると、彼は意外にも「そんな気がしたからつい焦ってしまった」と、

別れることをあっさり了承するメッセージを返してきたのです。

彼女は別れる事が出来てよかったと素直に喜んでいましたが、

カウンセラーはこれまで以上に気を付けるよう、彼女に最大限の注意喚起をします。

 

 

■日を追うごとにエスカレートするストーカー行為

別れ話から4日後、仕事が終わって職場を出た彼女の前に現れた彼。

彼女は突然のことにビックリして固まってしまいました。

「別れるなんて納得していない、結婚すると周囲に話してしまったから結婚しよう」

もはや彼は彼女の話など聞く耳を持っていませんでした。

 

腕を掴まれて無理やり歩かされ、周りの目もあり彼女のアパートに向かうしかなく。

そこで彼は、次の休日に彼女のアパートに引っ越しする提案をしてきます。

それはもはや提案ではなく、彼のゴリ押しに他ありません。

その場を「分かった」と収めなければ、また暴力を振るわれそうな怖さがあったので、

彼女はイヤイヤその場は了承せざるを得ませんでした。

 

 

■証拠を録り正当性を主張してきた彼

カウンセリングで「自分が我慢すればいいだけなのかもしれない」と語る彼女。

そんな一時の我慢などいつまでも続くものではありません。

我慢して相手の言う通りに従う関係は恋人関係ではなく、ただの支配隷属関係です。

そのため、彼に対して第三者から警告を行ったほうがいいという結論に至りました。

 

最初は警察に入ってもらうことを検討したのですが、初動が遅れるほど問題はこじれます。

そのため、当サロン提携の弁護士に彼女の代理人となって頂き、

彼に対し、交際を止める・接近もしないでほしい旨の電話をしてもらうことにしたのです。

 

彼はいきなり弁護士が出てきたことに驚いていましたが、

彼女とは結婚を前提に知り合っていたこと、彼女も結婚を了承していたこと、

同棲をスタートする約束に彼女も同意していたこと(彼女とのやり取りを録音していたのです)

逆に約束の不履行であり、別れるならば慰謝料を請求するとまで主張してきました。

 

弁護士は彼に、二人が別れる際のLINEのやり取りを見せました。

二人が別離したことを確認しているのに、彼が一方的に押し掛けてきたことは事実であり、

これ以上付きまとい行為があれば、警察へ相談せざるを得なくなると告げます。

弁護士は彼に、警察が入った時のデメリットをこんこんと話して聞かせました。

 

彼もようやく冷静になれたのか、今後彼女に付きまとわないと約束してくれました。

その後、弁護士を介して誓約書を取り交わし、二人は正式に別離することが出来たのです。

これは第三者の介入による対処が迅速で極めて的確であったため、

彼が精神的に追い詰められる前に冷却出来たことが功を奏した典型事例といえるでしょう。

 

 

■深刻な問題対応には第三者の介入は必須

プライベートな問題こそ、他人に相談出来ずにクローズドで処理しようとしてしまいがちです。

身内の恥を外に晒すなということわざがあるくらいですし、

親しい友人にネガティブな相談をするのは却って気が引けるのではないでしょうか。

 

また、近しい当事者同士の問題は論理よりも感情が先に立ちがちになってしまい、

冷静な方法論をベースに話し合うことが出来ないのは普通ではないかと思います。

 

この事例の場合、男性が盲目的に突き進んでしまわれる方で、

冷静なときには効いている理性も、不安を感じてしまうと思う通りに進めたいがために、

高圧的になりすぎてモラハラに至ってしまったのでしょう。

 

「否定された」というネガティブな思いが激情へと転じてしまう前に、

第三者を入れて適切に止めてあげることは、お互いの人生にとって非常に大切です。