「食べ尽くし系」 というワードをご存知でしょうか?
最近、SNSでプチバズりしていたホットワードです。
要は、人の食べ物を断りもなく 「食べ尽くす」 人のことを指します。
前からカウンセリングで良く聞くことがあった問題でしたが、
今はネットで話題になるほど問題視され始めてきたようです。
それでは「食べ尽くし系」とは実際にどんなものなのか、
カウンセリング実例から、いくつかご紹介していきましょう。
■自分のご飯が心配になる系
風邪を引いて寝込んでいた妻。
当然ご飯も作れません。
そんな状態の妻に対して、夫は 「今晩のご飯はどうしたらいいの?」 と語りかけます。
このことから、もうお分かりでしょうか。夫は発達障害様の性質の持ち主だったのです。
発達障害様性質を簡単に言うと、相手の気持ちや周囲の状況を察する言動が取れないという性質です。
夫の性質を知っていた妻は、箇条書きにして欲しい物リストをLINEで送り、買ってきて貰うことに成功します。
ヤレヤレ、これでご飯を食べられる、と安心したのですが…それは裏切られることになります。
妻 「買ってきてもらった〇〇、食べたいから部屋に持ってきてもらえるかな?」
夫 「それはもう食べちゃったよ。僕、ご飯作ってもらえなくてお腹空いちゃったから。」
妻は夫の返事に絶句してしまいました。
夫は、妻から買う指示をされた物は、自分が食べるものだと捉えていたようです。
そもそも夫は、病気で寝込んでいる妻のご飯の心配は、まったく頭になかったのです。
夫 「LINEには、キミ自身が食べたいものだと、書いてないから分からなかったよ。」
この言葉に、妻は返す言葉がありませんでした。
この出来事だけが原因なのではありませんが、
他にも色々と問題が重なっていたこともあり、この夫婦はその後結局離婚してしまいました。
このように、考え方の違いが生活の随所に出てくるのであれば、離婚は当然の帰結かもしれませんね。
それでは次のエピソードです。
これも驚愕のエピソードで、カウンセラーは涙を禁じ得ませんでした。
■目の前にあれば食べてしまう系
初めての出産をした妻。友達がお祝いに来てくれたときのエピソード。
友達は、スイーツ好きな妻のために、
妻がお気に入りのケーキ屋さんから、色々な種類のケーキを6個買ってきてくれました。
妻と友達は、初めての赤ちゃんを抱っこするなどして、積もる話をしていました。
妻は、久しぶりの友達との時間に癒されたそうです。
途中、友達が買ってきてくれたケーキでティータイムにしようと、
妻が台所に立ったところ、そこには驚くべき光景がありました。
友達が持ってきたケーキの箱を開けて、勝手にケーキを食べている夫の姿。
そしてケーキの箱には、既にひとつのケーキしか残っていなかったのです。
驚きすぎて言葉も出ずに固まっていた妻。その妻に向かって夫が放った言葉とは…。
「モンブランは残しておいたよ、好きだもんね。」と笑顔で得意げに語った夫。
これでも夫は、妻に最大限気を遣ったつもりだったと思われます。
妻は、この出来事がきっかけで、夫に対する気持ちが醒めてしまいました。
それと同時に、夫婦はセックスレスに陥ってしまったのです。
セックスを求めてくる夫に、妻は応じることができなくなってしまいました。
そのことをきっかけにして夫婦仲は険悪な状態となり、妻は離婚を考えるようになります。
しかし、子供が生まれたばかりですし、そもそも妻には経済力がありません。
また、子供から父親を取り上げることはできないという思いもありました。
妻は今もなお、夫との嚙み合わない結婚生活の辛さを抱えながら日々を過ごしています。
定期的なカウンセリングで気持ちを晴らしながら、自分を誤魔化して結婚生活を送っています。
それが良いことなのか悪いことなのか、妻自身も答えを出しかねているようです。
きっとそのうち、自活能力に自信がついてくるでしょう。
そのときが、妻の人生のターニングポイントになるかもしれませんね。
■自分のことしか考えられない系
最後にご紹介するエピソードは、カウンセラー自身が経験した「食い尽くし系」の出来事です。
以前付き合いのあった男性。経営者ですが、社内では「はだかの王様」のような人物像。
自分よがりな思考が過ぎる人でした。
その人と、フレンチレストランで会食した際のエピソードです。
元々、彼は食べるのが早い人ですが、テーブルに料理が運ばれてくるやいなや
「冷めるまえに」という理由で、会話もそこそこにガツガツ食べてしまうのです。
彼の意見も分からないわけではありません。
料理は冷めないうちに食べたほうが美味しいことは分かっています。
一人で食べるのならばそれで良いと思います。
しかし、会食の場合、周りとのペースや会話も重要視されるのではないでしょうか。
自分しか見えていない彼は、コース料理なのに相手の食べるペースを考慮せず、
皿が提供されると3分も経たないうちに食べ切ってしまいました。
食べるペースが遅い人もいますし、会話の進行度合いもあるでしょう。
そもそもこれは会食の場なのですから。
彼は、周囲に合わせて食べ進めるという考えを持ち合わせていません。
そのため、会食のホストである彼のペースに合わせなくてはと、
周囲の人は急いで食べることになってしまいました。
しかも、食べ方が遅い人の皿を見て、
彼は「食べないのか?」と言いながら、その人の皿から残りを取っていくのです。
そんな風に料理を取られてしまうと、食事を美味しく感じるわけがありませんし、
リラックスできるはずもありません。
また、このような場合、困ってしまうのはレストラン側でしょう。
ホストが一皿を3分で食べ切ってしまうと、料理の提供スピードをホストに合わせた方がよいのか、
それともゲストに合わせた方がよいのか、判断が難しくなってしまいます。
そして大概の場合、ホストに合わせて料理が提供されるため、
食べ方が遅いゲストの目の前には、手付かずの皿が何枚も置かれていくことになりました。
このような状況になったとき、彼が必ず言う言葉がありました。
「料理は冷めないうちに早く食べないと美味しくないよ。」
そんな彼ですが、自分より食べるスピードが速い人のことを、皮肉タップリにこう言い放ちました。
「高級店で、一皿をものの1分で食べてしまう人は、テーブルマナーを全く分かっていない。」
もう、何をいわんやですが、要は、彼は先天的に自分視点しか持ち合わせていないのです。
自分が発した言動の矛盾点に気が付くことは恐らくないでしょう。
また、彼を自宅に招いて食事会をしたときのエピソードです。
これはまさに「食べ尽くし」の典型事例と言える出来事だと思います。
彼が好きな料理を出してあげようと、手の込んだ料理を作っていました。
ところが、料理が出来上がるまえに、彼が自宅にやってきたのです。
待たせては申し訳ないと思い、先に出せるものを大皿に入れてテーブルに出しました。
大皿ですから、当然、複数人で食べるためのものです。
やっとメインを作り終えて、彼のいるテーブルに持って行ったところ、そこには驚くべき光景がありました。
もうお分かりかと思います。
そうです。
先に出した大皿の料理が、全て食べ尽くされていたのです。
アペタイザーですが、決して量が少ないわけではありません。
まさかそれを全て食べ尽くされてしまうとは!
私は大変驚きましたが、「これは一人分ではありません。」と、彼にあらかじめ断りを入れなかった私のミスでしょう。
■発達障害は性質なので治らない
彼は恐らく、最初にお話しした「発達障害様」の性質を持っていると思われます。
それは「周囲の状況を察する言動が取れない」
「人の気持ちを察することや共感することができない」というものです。
よくある特徴として「人に興味を持たない」「感情を出さない」などがありますが、
それは全て自分視点しか持たないことに起因しています。
それ故に「察する」ことができません。
先ほどのエピソードについて言うならば、
「大皿は複数人で食べますから、今は全て食べないでください」とハッキリ伝えなかった私のミスになるでしょう。
繰り返しになりますが、発達障害様の性質を持つ人に、
周囲の状況を読む力はありませんし、人の気持ちに寄り添ったり、察したりする力もありません。
それを踏まえたうえで、それでもその人のことを好きで、一緒に居たいというプラスの気持ちが上回るのであれば。
関係を続けていくために、色々と工夫しながらやっていくことは可能かと思われます。
しかし、彼らとのエピソードの中で、理不尽や苦痛を感じたり、それらを我慢している状態であるならば。
その関係は、決して長くは続かないと覚悟してかかった方がよいでしょう。
人の我慢には限界があります。
我慢は必ずや自分の余裕を打ち消し、相手と荒れた関係性になり、やがて双方を傷つける結末に至ります。
そうなってしまうまえに、相手との関係性を見直し、
「まずは自分のためにどう生きるべきなのか」を決断する必要があるでしょう。