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セックスレス以前にある根本的問題

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近年、夫婦のセックスレスが深刻な問題となっています。

私のサロンで、離婚に次いで多い相談ジャンルです。

サロン動画でセックスレスを取り上げるようになってから、ご相談をたくさんいただくようになりました。

それだけ多くの方々が悩んでいらっしゃる、由々しき問題だと感じます。

『睡眠欲』『食欲』『性欲』人間の三大欲のひとつとも言われている性欲。

決して蔑ろにはできない大切な欲求だと思います。

そして、人間の生存本能からの、重要な欲求でもあります。

人間の生存を司る欲のひとつが欠けると考えると、

セックスレス問題の深刻さが分かりやすいのではないでしょうか。

「ずっと夫のことが好きだった。しかし、もう我慢の限界を超えました。離婚を考えています。」

「妻のそばから離れたくないほどの寂しがりや。僕たちはセックスレスだけど、妻はいつか変わってくれるはず。」

カウンセリングのたび、こんな悲痛な声が多く聞かれる現状。

その中でも特に多いのは、子育てが少し落ち着いた妻からの声です。

男性よりも女性の訴えが多いのは、男性には性欲を解消する手段が数多にあることがひとつでしょう。

最近では女性の風俗なるものが流行っているようですが、

女性は性欲解消というよりも、愛されている実感を求めてセックスをする生き物。

風俗では埋められない何かがあるのかもしれませんね。

■ 夫は私を女として見てくれない

子育てが落ち着いてきて、妻が再び『女』を自覚するようになると、

そばにいる男性である夫に『男』を求めたいと思うのは当然の流れなのかもしれません。

しかし、その歯車が上手く嚙み合わないでいると『夫とセックスしたい』という欲求が、

次第に『私はもう女として見てもらえないのだろうか』という、虚しい自問へと変わっていきます。

そして、虚しさから、怒りへ感情が変化していくと、夫婦トラブルが頻発するようになるのです。

■ 夫が妻の求めに応じられないワケ

「あなたはなぜ、私とセックスしてくれないの?」

妻が思い切って夫に問うてみても、夫は戸惑いを見せて沈黙したまま。

あくまでも一例ですが、夫は精神的なED(勃起機能不全)を抱え、人知れず悩みを抱えていたのです。

『勃起しない』という悩みを、妻に打ち明ける勇気はありません。

とにかくセックスから遠ざかるより、他の方法が見つからなかったのです。

男性機能の衰えという事実が、夫のEDを深刻にさせてしまったのかもしれません。

■ そもそもセックスが好きじゃない

「元々セックスが好きじゃない。これまでは嫌々応じてきた。夫の性欲からもう解放されたい。」

夫が嫌いなわけではないが、セックスに生理的嫌悪感を持っている妻。

そんな訴えに対し、夫は「結婚したのだからセックスに応じるべき」と聞く耳を持たない。

「夫婦なのにセックス拒否なんて契約違反!」と、問答無用で怒りをぶつけてくる夫。

そこから夫婦仲が急速に悪化し、夫は不機嫌モラハラをするようになってしまいます。

妻は、嫌なことを嫌と言ってはダメなの?我慢しなくてはいけないの?とますます不満を募らせました。

その矢先に発覚したのは夫の不倫でした。そのことを夫に問い詰めると「おまえのせいだ」と。

事実を知ったとき妻が感じたのは「私は性欲処理要員だったのか」という憤りでした。

■ 妻がセックスに消極的

ある夫は結婚以前から、妻とのセックスに不満を持っていました。

夫が求める理想のセックスは、妻の能動的・積極的な行為です。

淡泊な妻にそれを求めても難しいという諦めが、セックスから余計に足を遠のかせました。

「結婚したらきっと変わるはず」こんな考えが、後に自分を苦しめることになるとは想像できなかったのです。

次第に夫は妻を求めなくなり、その穴を埋めるように不倫に走ってしまいました。

■ 気持ちを共有する歩み寄り

端的に言ってしまうと、セックスレスは『夫婦のコミュニケーション不全』です。

そして『セックスは射精』という思い違いと、知識不足が原因かもしれません。

男性側だけの問題ではなく、女性側も同様だと感じています。

生殖のためならば、射精が主目的となるのは当然のことですが、

スキンシップとして考えた場合、射精や絶頂は所詮副産物に過ぎないのです。

会話や触れ合いもソコソコに、女性の高まりも意識せず挿入を急いでしまう。

その結果生まれるのは、女性の痛みや不満や嫌悪感です。

良かったなんて感じることもないままに、男性が一方的にフィニッシュしてしまう。

女性側も、セックスに対して受け身になりすぎることで、男性主導ばかりになり、単調なセックスになってしまう。

こうしてほしい、ああしてほしいと希望を口にしなければ、エスパーでない限り、

男性は女性の要望が分からないのです。

そもそもセックスとは、二人が協力して創り上げるものであり、協調姿勢がなければ良いものが仕上がりません。

これは双方の知識不足や、気持ちの共有不足によって起きた不幸と言えるでしょう。

しかも、突然上手くいかなくなったのではなく、最初から合っていなかったのかもしれません。

「結婚したら、子供ができたら、生活に慣れたら」と、なんの確証もなく関係を進めてしまったことが、

のちに気持ちのすれ違いを生み、問題が大きくこじれた原因でしょう。

■ 基本的なスキンシップをおろそかにしない

そもそもセックスは、生活の中での何気ないスキンシップから始まっていると言えます。

たとえば、『手をつなぐ』『ハグ』『挨拶のキス』『一緒のお風呂』『隣で寝る』など。

こんな簡単なスキンシップでも、セックスに向けた気持ちの共有に繋がるものです。

このような初歩的なスキンシップからでも、脳へ流れる性的興奮を高めることができるのです。

性的興奮を経てホルモンが分泌されることにより、セックスのときに十分な興奮が得られるようになるでしょう。

もちろん、それだけで性的欲求そのものが満たされるわけではありません。

お互いの思いや要望を汲み取り合い、

ふたりで一緒にパーツを組み上げて完成させようとする気持ちが必要です。

最高のセックスとは、

お互いの協力と段階と醸成がなにより重要であるということがお分かりいただけたでしょうか。

■ カウンセリングで気が付いたイシュー

『セックスレスが諸悪の根源』というアプローチをするご夫婦が多くいます。

しかし、カウンセリングを通して初めて、

問題はセックスレスではなかったと、多くのご夫婦が気が付いてくださいます。

セックスレスはあくまで結果論であり、

初めからお互いにボタンの掛け違いがあったことを、カウンセリングを通して初めて知ることになります。

どこから掛け違いが起こったのか、時間をかけた話し合いを重ねて、問題の本質を探ることが不可欠です。

一足飛びにセックスをすれば解決するわけではありません。

気恥ずかしいからと話し合いを敬遠したり、

自分のせいにされることを恐れて、感情的になることは大きな誤りです。

結果的なセックスレスより、問題の本質を知る努力をすること。

当事者間での解決が難しそうであれば、第三者を挟んで話し合いを続ける。

そのような地道な努力と歩み寄りをすることが、

セックスレス解消と夫婦の再構築の分水嶺となるかもしれません。

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