■A子さんからのご相談
恋愛に興味がなかった私が、職場の先輩からの紹介でお付き合いするようになった夫は、
クセがない穏やかな人でした。
私もそうですが、夫も恋愛経験がなく、付き合ったら結婚するのが当然だという感じで、
半年後には結婚に至りました。
付き合っているときには避妊に協力してくれた夫が、なぜか結婚後から避妊を拒むようになったのです。
私は会社でのキャリアを落としたくなかったので、結婚してしばらくは子供を作らない約束だったのに、
避妊に協力してくれないので、すぐに妊娠してしまいました。
中絶は考えられないので、やむなく出産を選択しましたが、
私の気持ちはギリギリまで事実を受け入れることができませんでした。
妊娠中にもセックスを求めてきた夫でしたが、妊娠を理由になんとか拒むことが出来ました。
私の中では、妊娠を理由にした拒否というよりも、
私の希望を尊重してくれなかった夫への抵抗でもあったのです。
子供が生まれ、退院して二か月が経過したとき、
夫は子供の傍で寝ている私を起こして、強引にセックスしようとしてきました。
私はあまりに驚いて声を上げて拒否しましたが、夫は行動を止めようとしません。
無理やり挿入される寸前で、夫を蹴り倒してなんとか逃れることが出来たのです。
夫はようやく冷静になったのか
「なぜさせてくれないのか？いつになったらさせてくれるのか？」と問うてきました。
夫いわく、出産後二か月で次の妊娠ができるとネットに書いてあったので、
セックスしてもよいと判断したのだそうです。
医学的にはそうなのかもしれないけれど、出産したときの傷が回復していないと感じるし、
３時間おきの授乳で疲れ切っているから、セックスしたい気持ちになれないと訴えたのですが、
夫は理解できなかったようです。
「だったらもうひと月したらできるよね？」と念押しされてしまい、
その勢いにその場は了承するより他ありませんでした。
その事件からひと月後、夫は前日から
「明日の夜は約束のひと月だから、今度こそセックスしてよ」と念押ししてきました。
世の中の女性は、出産後三か月でセックスを許せるものなのでしょうか？
私はそんな気持ちにはなれませんでしたし、夫から半ば強制的に求められても、
義務でするセックスに気持ちが乗るはずもありません。
夫と喧嘩をする元気もなかった私は、夫に押し切られる形でセックスを受け入れました。
ただ、絶対に避妊をしてほしいとお願いし、
夫も了承して避妊をしたはずだったのですが、ひと月後に妊娠が発覚したのです。
私は動揺して夫を問い詰めると、夫は直前で避妊具を外していたことを白状したのです。
あんなに避妊をお願いして、夫も了承したからこそ受け入れたセックスだったのに、
私はまたもや裏切られたのです。
生後三か月の子供を抱えながら、妊娠を継続する余裕もありませんし、
育休中の職場にもどう話せばよいのか分かりません。
なにより夫に二度までも裏切られたことが許せず、二度目の妊娠は中絶をすることにしました。
夫は中絶自体を拒むことはなかったので、二人目を産まずに済んだことはホッとしていました。
しかし、中絶からひと月後、夫はまた突然セックスを求めてきたのです。
拒否反応から夫を突き飛ばすと、夫は「もうセックスできるだろう！」と声を荒げて怒ってきました。
夫いわく、中絶からひと月で行為が可能というネット記事を見たとのことで、
自分の行為の正当性を訴えてきたのです。
私は夫に、約束を二度も破られたことや、
育児で疲れているのにセックスをする気持ちになれないことや、
子供が隣で寝ているのに状況的に無理ということを話しましたが、夫には理解できないようです。
避妊しているから大丈夫と言っていたのに、実は途中で避妊具を外していたなんて、
これほど酷い裏切り行為はないと思っています。
私は夫のことを、男性としても、夫としても、人間的にも受け入れられなくなってしまいました。
それ以降、夫はいつも不機嫌になり
「セックスできないなら結婚した意味がない」と怒り出すようになったのです。
不機嫌をまき散らすように無視をしてきたり、声を荒げて怒ってきたり、
育児や家事の協力を拒んだりと、家の中の空気が悪くなってしまいました。
まだ幼い子供を抱えて離婚を選択する勇気もありませんし、
かといってこのまま夫と一緒に生活し続けることも難しいと感じています。
夫は自分の裏切り行為が悪いのではなく、
セックスに応じない私が悪いと言って、責任転嫁をしてきます。
この先どうしたらよいか分からず、こんなことを誰にも相談できず、毎日悩み続けています。
■カウンセラーのアドバイス
結論から申し上げますと、妻は離婚を視野に入れ、夫と真剣な話し合いをし、
両者納得いかないことがあるならば、即座に離婚へ舵を切ることがベターと考えます。
何より大きいことは、モラハラやセックスレスよりも、夫婦間で
重大な約束違反行為があったことに尽きると思います。
まず一つ目は、結婚後しばらくは子供を作りたくないという、
妻の願いを無視したセックスを強行し、妊娠に至らしめたこと。
二つ目は、避妊をすると嘘をついて、射精直前に黙って避妊具を外し、
妊娠したくない妻を妊娠に至らしめたこと。
一度目は妻も許して受け入れていますが、二度目は許せるはずもなく、
しかも避妊をしたと嘘をついて行為をし、妊娠させたことは、
もはや人として許しがたいことではないでしょうか。
女性の体はとても繊細であり、しかも妊娠して命を賭けて出産したあとに、
育児や家事を行わなければならず、その負担は、肉体的にも精神的にも、
どれだけ大きなことなのかを、男性はしっかりと理解すべきです。
医学的には一か月ほどで傷が治るものであっても、それはあくまで表面的なことであり、
精神的にも体力的にも、セックスを受け入れられる状態ではないということを、
夫は察することすら出来なかったのが残念でなりません。
相手を尊重して察する思考が欠けているという事実は、セックスだけではなく、
今後の夫婦生活の色々な場面で差し障りが出てくると思われます。
子供が小さいからという妻の気持ちは理解できますが、目先だけ見るのではなく、
今後長く続く夫婦生活において、どう影響が出てくるのかをよく考え、
夫の言動を許し受け入れ続けるだけの余裕が持てるのかどうか、真剣に考える必要があるでしょう。
但し、夫と真剣に話し合ってみて、夫が妻の訴えと気持ちに気が付き、
考え方と行動を改める努力をしてくれるようであれば、
もう一度夫を信じて、再構築をしてもよいのではないかと思います。
その際には、慣れた夫婦だけで話し合ってしまうと、
どうしても感情のぶつけ合いになってしまい、解決へは繋がらず、
ますます泥沼化してしまうことが多いので、
話し合いの際は、中立的な第三者を立てたほうがよいでしょう。
また、離婚を前提にした話し合いを持つことで、両者が崖っぷちに置かれた状況から、
上手くお互いの歩み寄りを得られる場合があります。
要は、お互いに覚悟をもって、真剣な話し合いに臨むという姿勢が大事だということです。
しかし、避妊したと騙して、妊娠に至らしめる行為は、傷害罪とも言える危険な行為です。
一時の快楽と自己満足のために、黙って避妊具を外して射精をし、
約束を破ってしまうその思考は、容易に改善できるものではないと推察します。
なにより、人間関係において重要な、信頼を損なう行為とも言えますし、
人権を蹂躙する行為でもあることから、簡単に許せることではないと、私は考えています。
一つ屋根の下に暮らす人間が、信頼関係を築けない人間だとしたら、
それはその家が、あなたにとって安心することができない場所だということを意味します。
離婚も再構築も、目先ではなく長い先を想像して良く考えて、
まず自分を大切にすることに重きを置き、最良な答えを出してみてください。
