表に出にくい「心理的虐待」
大人になった今でも、いつもどこか生き辛さを抱えていると訴える方がいます。
そして、「その原因がよく分からないのです」、とお話しになるケースが殆どです。
不定愁訴とは身体的トラブルに用いられますが、精神的トラブルでも用いられます。
過去の生育歴をお聞きしてみても、親にはキチンと育ててもらった、理不尽な目に遭ったことはないと。
しかし、よく掘り下げて聞いてみると、実際には心理的虐待を受けていたことが判明します。
一般的に、虐待=身体的暴力というイメージがありますが、実は一番多い虐待とは心理的虐待なのです。
不機嫌や制裁的な無視。
拒絶的な態度。
子供の自尊心を傷つける。
あからさまな兄弟差別。
夫婦喧嘩に巻き込む。
支配のための脅迫的言動。
故意に自尊心を傷つける。
これらは心理的虐待と定義されます。
生育歴の中で子供がこのような経験を重ねてしまうと、人に対する信頼が持てず、不安感だけが募っていきます。
故に大人になっても生き辛さを感じてしまうならば、それは何ら不思議なことではありません。
しかし、その原因が目に見えて分かるものではないため、
周りは気付きにくいですし、被害を受けた当事者は過去の辛い記憶を自ら封印してしまうため、
成長しても生き辛さの原因が分からず、更に自分を追い込んでいく傾向にあるのです。