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離婚調停の実際・共同親権制度への警鐘

落ち込む女性

当サロンへのご相談で、一番多いジャンルが離婚です。

夫婦が離婚へ向けて問題解決の協議をしても、上手く進まず、

結果的に家庭裁判所へ話し合いを求めることを「夫婦関係調整調停」と呼びます。

私も過去、元夫との離婚に際し、離婚条件で揉めてしまい、この調停制度を利用したことがあります。

その調停での話し合いの中で、私と子供たちは夫婦共有のマンションから退去するよう、

調停委員から諭されたのです。」

離婚の話し合いが出た時は既に、元夫は単身赴任先の社宅に住んでおり、

私は結婚時に購入していたマンションに、子と一緒に居住していました。

しかし、調停を始めて二か月もしないうちに、夫側から、

「単身赴任が終了したので、マンションへ戻るから、同居が嫌なら他へ引っ越して」と、

離婚前提の別居中にもかかわらず、一方的な要求をされたのです。

もちろん、離婚を争っている最中に、そんな一方的な申し出は受けられませんし、

こちらが先に転居しなければならない理由もありません。

当然、調停の場で、こちらの主張を汲んでくれると思っていたのですが、

調停委員は私に向けて驚くべき言葉を発しました。

「マンションは夫名義なので、同居が嫌なら出ていくべきでは?離婚したいのでしょう?」

マンションは確かに夫名義ですが、財産分与としては夫婦共有財産ですから、

名義云々で私が出ていくべきと言われたことは、全く理解できませんでした。

私が夫へ求めていた財産分与も、全く話しが折り合わないにもかかわらず、

夫が求める「マンション退去」は、離婚したいのだから退去に応じたらどうかと、

議論もなしに賛成する調停委員には呆れました。

■面会交流権に取り憑かれた調停委員

ここで30代女性・専業主婦・小学生のお子さまを持つ方の事例をお話しします。

夫の不倫とモラハラに耐えかねて、家を飛び出した女性は、

夫と直接協議するのは不安なため、離婚調停を申し立てました。

調停委員は夫のパワハラに理解を示し、婚姻費用も一回で決まり、

面会交流はパワハラを考慮して保留にし、離婚に関しては裁判へ移行するようアドバイスをくれたのです。

すると夫は女性を相手取り、子供との面会交流と婚姻費用減額の調停を申し立ててきました。

この調停の当初は「面会出来れば養育費減額は無し」という方向で進んでいましたが、

話し合いが揉め出すと途中で調停委員が踵を返してきて、

「審判へ進むと、全部夫の要求通りになるだろうから、面会交流に応じるのはルールだ」と言い出したのです。

これはもう、調停委員による脅しと言っても過言ではないと思いますし、

味方を無くした女性はすっかり怯えて憔悴してしまいました。

女性はこれに大きなショックを受けてしまい、当サロンへ相談来所し、

話し合いを重ねた結果、当サロン経由で弁護士へ依頼することになりました。

夫からの嫌がらせに、調停委員からの脅し、そして弁護士費用という金銭的負担が重なった女性。

これは離婚問題をひとりで抱える女性にとって、あまりの仕打ちではないでしょうか?

 

■最近法制化に向けて審議されている共同親権制度

近い話で、最近法制化に向けて動きのある共同親権制度には、個人的に大変憂慮しています。

離婚理由がDVである場合、DVは家庭内の密室で行われることが多いため、

DVがあったとする認定はかなり困難だからです。

ご相談の事例でも、DVの証拠を録って離婚訴訟の立証に使おうと、

言い争いの最中にスマホの録音を録ったのですが、DVの証拠を録って訴訟で有利に立つために、

わざと喧嘩を仕掛けて証拠を録ったのではないかと、相手側に反論されてしまったり、

家庭裁判所側に、DVが常態化しているかどうかは判断しかねるとされ、

結局DVを認めてもらえなかった事例が多くありました。

DVについて厳格な認定をすると、実際にはDVがあった事例でも、

DVがあったとは認定できないとされてしまいますし、

また、緩やかな認定をすると、実際にはDVがなかった事例でも、

DVがあったという認定がされてしまう危険性もあります。

今後の共同親権制度の法改正で「DVがあった場合は、共同親権ではなく、単独親権とする」とされた場合、

その事実認定は厳格なものになるのか、緩やかなものになるのか、

ケースバイケースなのかは、ハッキリと明言できないでしょう。

これまでの家庭裁判所の認定の仕方を見ていて、きちんとした線引きは設けずに、

見切り発車しようとしているように思えてなりません.

その場合、認定の部分で夫婦両者は壮絶な戦いを余儀なくされるでしょうから、

夫婦双方の精神的負担のみならず、

その狭間に立たされた子供は、長く辛い思いをすることになるのではないかと強く危惧しています。

■調停委員は法律の専門家ではない

厚生労働省の人口動態統計によると、昨年の離婚件数は21万2262組あったそうです。

夫婦間での協議離婚が成立するのは、そのうちの8〜9割であり、

残り1〜2割は離婚調停へ進むことになります。

その調停を担う調停委員とは、どのような経緯を経て選ばれているのでしょうか?

以下は家庭裁判所のHPからの抜粋です。

『調停委員は調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や、専門的な知識を持つ人の中から選ばれます』

『具体的には、原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士・医師・大学教授・各士業などの専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人など各分野から選ばれています』

そもそも調停委員は法律家ではないのにもかかわらず、権威を笠に着たような言い方で、

上から決めてかかる事例が多いように感じます。

前述のように根拠なく「裁判になれば負ける」 という物言いがそれに当たります。

専門家でもないのに、法律を盾に、調停委員の常識を笠に着て、決めてかかる言い方はどうなのでしょうか?

何故そのようなことが起こってしまうのでしょうか?

それはひとえに、調停委員の最大目的は「調停成立」にあるからだと思われます。

金額の多寡や有利不利にかかわらず、夫婦双方を如何に歩み寄らせて、

調停成立へ向かわせるか、ここが調停委員の仕事なのでしょう。

もしも、こちらの条件を一切考慮してもらえずに、一方的に相手の条件を呑むように言われたのならば、

それは調停委員から「丸め込める相手」だと見切られたと言えます。

調停は、折れてくれそうな相手に対して、妥協をさせるべく強く出てくる傾向にあるのかもしれません。

■離婚調停に意味はない

調停委員は法律家でないにもかかわらず、権威主義的な物言いをする人が少なくありません。

調停委員の平均年齢が50~60代であり、世代が異なることで、

夫婦問題の根底をきちんと理解することが難しいばかりでなく、

男尊女卑の価値観や世代間格差が根深くあることも、大きく影響しているのではないかと思います。

更に、裁判所が定める婚姻保護や、子供との面会交流の権利が、

時にパワハラやDV被害者の権利より、強くなることもあるのです。

未だに、社会的立場が弱いシングルマザーにとって、

離婚調停は精神的に辛いものであり、生活にも大きな影響を与えているのが現実です。

こんな、弱者に厳しい離婚調停に、果たしてどんな意義があるのかなと考えてしまうときがあります。

そもそも論、この国の法律婚制度そのものに歪みがあり、

婚姻破綻に拍車をかけているのではないかとも感じる今日この頃です。

離婚問題の現場にいて、ご相談者から直接お話しを聞く機会が多い私は、いつもそれを強く感じてなりません。

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