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コロナで離婚危機と言うけれど・・・

50代後半女性
夫と結婚して30年
独立した子供あり

 

■実は結婚前から既に違和感がありました

ご相談者は50代後半の女性です。

 

夫は同い年で中学校の同級生。

結婚して30年近く経つ夫婦で、

子供は一人で成人して独立しています。

 

夫は基本的に優しい人ではありましたが、

結婚生活はいつも夫の仕事中心に回っていました。

 

夫は育児や家事に関わることもなく、

家庭に気持ちをかけてくれることはなかったように思います。

 

時に外に女性の影を感じることもあり、

妻は心を痛めたこともありましたが、

途中から夫婦というより家族として生活を維持することが優先となってしまい、

夫の不倫に気を揉むものの見て見ぬふりを決め込むようになりました。

 

安定を維持することが優先になったというよりも、

夫は自分が嫌なことからは逃げてしまう性格で、

議論が出来ない人だったため、

事を荒立てるようなことは妻自身避けてしまいました。

 

妻は夫に対する違和感を常に持ちながらも、

自分を誤魔化して生活を継続し続けました。

 

頭ではこの生活がおかしいと感じていても、

何故結婚生活を維持してしまったのでしょうか?

 

それはひとえに「安定した生活」への依存と、

「変化が怖い」という妻の自己保身。

そして現在のステータスが満たしてくれる自己肯定感を、

離婚により失いたくない気持ちに他なりませんでした。

 

また夫は仕事人間だったこともあり、

夫婦が一緒に過ごす時間が少なかったため、

直接的な衝突を避けられたことで表面的な関係は維持出来ていました。

そのため問題の本質が表面化しずらかったこともあります。

 

離婚を避けてきた理由として、

「子供が可哀想だから離婚出来ない」「ここまで来て離婚など簡単に出来ない」

というエクスキューズを自分の中に作り上げてしまったのです。

 

そしてそれは妻だけではなく夫もまた同じ考えだったのでしょう。

 

こうして夫婦それぞれが自己正当化してしまい、

ますます夫婦問題の本質は闇に埋もれていきました。

 

 

■共有する時間が増えて浮き彫りになる決定的な違和感

そしてあやふやなまま歳月は過ぎ・・・。

 

今回のコロナウイルス感染症騒動により、

夫の仕事が完全テレワークに切り替わったことで、

嫌でも夫婦が共に過ごす時間が増えました。

 

これまで長年に渡り夫は夕飯を外で済ませてきました。

もちろん仕事でもあったのでしょうけれど、

遊びでそうしてきた部分も大きかったでしょう。

 

しかし最近は夫が在宅勤務に切り替わったため、

自宅で妻と一緒に摂ることが常になったのです。

 

これまでは妻は自分の好きな時間に好みの夕飯を摂っていましたが、

夫が夕飯を家で食べるようになってからは、

夫の時間と好みを考慮しなければならなくなりました。

 

そして偏食が多く気難しい夫のために合わせて、

夫が好む献立を取り入れざるを得なくなったのです。

 

元々夫は家庭では亭主関白で通っていました。

当然普段から家事を手伝うわけでもなく、

機嫌が悪くなれば高圧的なモラハラもありましたし、

悪びれもなく外で堂々と不倫をしていました。

 

そんな夫にもかかわらず、

夕飯の時間や味付けの好みや料理の温度などを、

妻に事細かく指示してくるようになったのです。

 

妻が作った夕飯に感謝するわけでもなく、

美味しいの一言もなく自分のペースで黙々と食べるだけの夫に、

次第に妻は苛立ちを募らせていくようになります。

 

もうひとつ妻は夫に対して強く不満を感じることがありました。

夫は今まで家庭を顧みることもなく、

自分の思う通り好きなことをしてきた人間でした。

 

結婚当初から多忙な夫にひとり寂しかった妻が、

たまに会話やスキンシップを求めても、

自分が興味のない話は聞く耳を持たず、

疲れているからと夫は妻を避けてきました。

夫婦は当然の如くセックスレスとなりました。

 

外に女性がいる様子が窺える夫なだけに、

ある意味当然の顛末でもあったでしょう。

 

しかしコロナ禍で外へ出ることもままならなくなった夫は、

就寝時間が近づくと妻の機嫌を取るようになり、

自分の性欲を晴らすかの如くセックスを求めてくるようになりました。

 

そんな夫に対して妻が誘いを断ったり、

セックスに対して反応が悪かったりすると、

途端に夫は不機嫌を露わにするようになり、

翌朝には無視を決め込むこともありました。

 

妻はそんな夫婦関係にすっかり疲れ切ってしまい、

夫婦の子供である独立した娘に思わず愚痴をこぼしたのです。

 

 

今まで抱いていた違和感はハラスメントだった

妻の愚痴に娘は一言「お父さんはモラハラをしていたんだよ」

妻は自分がモラハラを受けていたとは思っておらず、

自分が至らないから夫との関係が冷えたのだと考えていたのです。

 

妻はモラハラについてネット検索してみると、

そこに書かれていたモラハラの特徴は全て夫のそれと合致していたのです。

 

妻はようやく自分が置かれていた状況に気が付きました。

そして自分が今まで抱いてきたモヤモヤした気持ちや、

夫婦の違和感の正体を知ったのです。

 

そして当サロンのカウンセリングで過去をひとつずつ紐解いていきました。

 

そこで世の中には「モラ夫」と呼ばれる男性が存在し、

夫はまさしくその中の一人であることに気が付きました。

 

「これまでの心の違和感の正体が分かって逆にスッキリしました」

と穏やかな中に決意を込めた話し方をしていた妻の顔が印象的でした。

 

その後数回に渡るカウンセリングの結果、

妻が導き出した結論は夫との離婚でした。

 

夫との円満な離婚に向けての進め方と、

妻の離婚後の人生のサポートとアドバイスについて、

当サロンでカウンセリングを継続することになりました。

 

そして夫婦は結婚から30年を経てようやく、

離婚に向けた話し合いがスタートしたのです。

 

コロナで離婚危機というよりも、

以前からあった問題が表面化したというお話しでした。

 

建前しか見ずに本質を見ようとしてこなかったツケを、

夫婦はコロナ禍をきっかけにようやく清算することになったのです。

 

 

僕がモラハラならば妻のほうがもっとモラハラ

モラハラを働く人間は一般的に相手をモノとしか見ていません。

人間が相手ならばモラハラなど出来るはずがないからです。

 

寧ろ自分は相手に最大限尽くしてきていると、

高い自己評価をしている事例が多々あります。

 

カウンセリングで妻が夫に対する不満を話し、

夫のモラハラが原因の一つだと指摘すると、

夫は「僕がモラハラならば妻はもっとモラハラ」だと返してきます。

自分は反省することなく相手が悪いと言い切るのが、

モラ夫によくみられる定番の反応です。

 

要は多くのモラ夫は「僕をバカって言う妻がバカ」と、

幼児レベルの言い訳をする程度の低さがお分かりになるかと思います。

それは偏った自己愛が成せる業でもあります。

 

そして多くの事例で、

「養ってやっているのに自分を批判するということは、妻に男が出来たからだろう!」

と自分勝手なストーリーを作り上げて責任を妻に転嫁し、

本気で妻を疑うことがあるため本当に厄介です。

 

そして「妻に裏切られた哀れな夫」というストーリーを自分の中に作り上げてしまいます。

周囲に自分は被害者だと訴えて回るのもモラハラの特徴です。

何故そう思い込むのでしょうか?

 

それは「自分が悪かった」と非を認めることは自己否定に帰結してしまうからです。

全てを相手のせいにすることで自己保身を図る=自己愛に他なりません。

 

また離婚の話が進んで別居状態となっても、

モラ夫は決して自分を省みることはありません。

 

モラ夫は一方的に妻の不貞を疑ってかかったり、

妻の実家が離婚へ誘導していると思い込んだり。

妻の精神が不安定なことが原因で離婚を言い出したと主張したりします。

要は自分に非はないと言いたいわけですね。

 

当事者二人の問題において、

片方の非で片付けられる問題はないといってもよいでしょう。

 

それでは何故夫はここまで自分の非を否定するのでしょうか?

 

その理由は以下の通りです。

自己愛が偏っていること、

本質的な自己肯定感が低いこと(失敗経験をプラスに変えられていない)

共感力が著しく低いため相手の感情を理解しにくいため、

自身の人間関係でトラブルが多かったこと。

 

それらをプラスに変えられたら良いのですが、

自己愛が傷つくのを極端に恐れてしまうため(自己否定の恐怖)

自己に向き合うことが出来ないのです。

 

そしてこのような夫は話し合いになると、

必ずと言っていいほど離婚に猛反対をします。

 

夫が離婚に反対していると聞いた多くの妻は、

「離婚だと言い出したのは夫のほうなのに!」

と夫の発言に驚愕します。

 

「夫の離婚宣言は妻を思う通りにコントロールするための圧力であり本心からの発言ではないのです。」

と話しても妻の憤りは収まりません。

 

とある妻は

夫から「離婚しても慰謝料は一円も出さない」と言われたそうです。

 

 

■夫と同じ墓に入りたくなければどうすべきかを考える

それでも夫との離婚に踏み出すか否か、

最後の最後まで迷われる妻が多くいます。

 

モラ夫であっても妻にとって一度は自分の人生を賭けた相手です。

夫を選択した自分の自尊心が傷つくのを恐れる部分もあるでしょう。

 

そのような時、カウンセラーは妻にこう質問をします。

 

「これから数十年、夫と一緒にいることが本当にあなたの幸せですか?」
「夫と同じお墓に入り、永遠に彼の妻で居続けることがあなたの本望ですか?」

 

いずれかの問いに対してNOと思われたり、

答えに大きな戸惑いが生じるのであれば、

夫との離婚を真剣に検討することをお勧めします。

 

あなた自身の幸せを一番に考えてみませんか?

 

※妻と夫の立場が逆転する事例もたくさんございます。