一緒にいてもなぜか不安がぬぐえない…
がんばらないと、と思うその裏で、常に不安が存在している。
周りには支えてくれる友達や、隣に居てくれるパートナーがいるというのに。
表向きには上手くいっているように見せてはいても、
心の内では『全て建前』『どうせ上手くいかない』と自己否定ばかり。
関係が壊れてしまい傷付く前に、自分から壊してしまえばいいと思ってしまう。
そして実際に壊れてしまうと壊れたことに傷付いてしまう自分。
そうして人間関係が怖くなっていくが、その裏でひと一倍愛されたいと思う自分。
以上は、アダルトチルドレンにおける典型的な心理パターンです。
そしてその思考に気が付いていないパターンがとても多いのです。
毒親であった親元から自立したのちに人間関係に違和感を感じ、
カウンセリングを受けるようになってから気が付くことが大変多いです。
生まれてからの人生が自分の当たり前だったため、
親や脅威と感じる人間から支配を受ける痛みとは何かが分かりません。
成長して社会へ出てみて初めて、これまでの違和感の正体に気が付きます。
『自分は親の存在に囚われて生きてきたのだ』
親に囚われる=支配=毒親が行なうモラハラ、です。
親は大きな存在であり、また同時に超えられない存在であり、
それと同時に怖いとも思える存在でしょう。
なぜアダルトチルドレンはそこまで親を恐れてしまうのでしょうか?
その理由とは…
目次
1.アダルトチルドレンとは
『親にありのままの自分を認めてもらえなかった』
『自分の求める愛され方をしてもらえなかった』
『自分は親に受け入れてもらえていないと感じる』
『親に受け入れてもらえない自分はダメな自分』
代表的なものだけでも、とても辛く苦しい気持ちでしょう。
毒親の影響下で抑圧されてきた人のことをアダルトチルドレン=ACと呼びます。
離婚や不倫など男女関係のお悩みの裏には、
必ずと言っていいほどACが関係していることが多いです。
『コミュニケーション機能不全』が土台にある問題と言われていますが、
それはACに原因があると言っても過言ではありません。
2.機能不全家族と発達障害
『機能不全家族』とは、家庭内で家族としての役割を果たせない、
問題を抱えた家族のことを表します。
ハラスメント、暴力、不倫、精神障害などが原因で家族の信頼関係が壊れ、
家族が機能不全に陥ってしまいます。
ACを生み出してしまう家庭の問題の根底は『機能不全家族』だと言われています。
そしてまた毒親自身もACであったりと、世代を遡って引き継がれていることが多いです。
中でも毒親が発達障害気質である場合は、ACに与える影響は非常に深刻です。
性質的にコミュニケーションに難があったり、共感性の欠如により気持ちにの寄り添いがなく、
全て親の意向に従うよう強制される主従関係を余儀なくされます。
発達障害気質はタイプ別に以下の分類となっています。
【天才型・孤独型・受動型】
これは周りに被害を及ぼすことは非常に稀で問題に発展しにくいです。
【積極奇異型・尊大型】
問題を生じるのは多くがこの類別です。
【積極奇異型・尊大型の特徴】
■自己愛性人格障害
■支配者的性質
■自分が思う通りに相手を動かそうとする
■相手は搾取の対象
■自分の理想を叶える人間だけが愛される
■自己中心的で尊大な態度
■自分の意見以外、聞く耳を持たない
■従わないと高圧的態度で極論を突きつける
■仕事一徹か趣味一徹(過度な没入)
■反対意見には耳をふさぎ、見て見ぬふりを決め込む
■自分には甘く他人には厳しい
■相手への共感性が皆無(相手の立場を無視)
■会話のキャッチボールが下手(自分のことばかり話し、相手の話を遮る)
■自分が分からないことや興味がないことからは逃げる
子供は親の性質が世間の普通と思い込んで育ちます。
理不尽を理不尽と思わず、愛情を注がれないのは自分が悪いからだと自分を責めます。
こうして自己肯定感が低く自尊心が低い性質が作られてしまいます。
3.子につきまとい続ける毒親の呪縛
そのような子が大人となり社会に出てみて、世間一般に触れてみて初めて、
これまでおかしかったのは自分ではなく、親であったのだと悟るときがきます。
進学等で実家を出るなど上手く自立できた子供は、
親と物理的な距離を取り、精神的な距離を置くことで自己防衛しようとします。
そんな子供に対して親は、依存対象を失う恐怖から更にモラハラを強めるか、
支配から逃れようとすれば、子供ですら裏切り者として縁を切ろうとしてしまいます。
毒親の頭の中は常に「相手が言う通りにするかどうか」の両極端な思考しかなく、
周囲の人間は『自分の装飾物』という認識でしかなく、ひとりの人間としての尊重はありません。
自分にとって「いい子」ならば受け入れ、「悪い子」ならば放置するという方法を取ります。
子供の気持ちに立って考えられないため、子供が離れていくのを感じると、
『これまで育ててやったのに裏切られた』という認識になり、
一方的に被害者意識を強めて子供の行動を一方的に責めてしまいます。
その一方で毒親の支配からようやく逃れることが出来た子供ですが、
支配されていた時には麻痺していて辛さを感じなかった心が、
親と離れることで冷静さを取り戻すと同時に、心に痛みが襲うようになります。
自分は何故親から優しくしてもらえなかったのだろう…
自分がダメな子だったからではないのか…
自分は人としての存在価値があるのか…と。
親と離れたのにも関わらず、尚も親の呪縛に囚われ続けるのです。
やっと毒親の支配から逃れられたのに…
離れて正気に戻ったことで、更に苦しむことになる地獄。
このようにアダルトチルドレンが抱える毒親の呪縛は大変恐ろしく、
無垢な子供の心に一生付きまとうこととなるのです。
4.人間関係を自ら破壊する
そんな子供も成長し、やがて結婚の機会に恵まれたり、子供に恵まれる機会も来るでしょう。
そんな幸せの中にいても、ACは常に不安を抱えながら苦しみ続けます。
『親のようには絶対になりたくない』
『親を反面教師にして良い人として振る舞わなければ』
『自分は親に愛されなかったダメな人間』
『そんな自分を愛してくれる人はいるはずがない』
『自分はダメな人間なのに人生が上手くいくはずがない』
『上手くいかなくなって苦しい思いをする前に関係を壊してしまえばいい』
『親に支配されていた時のように相手に支配されるかもしれない』
『誰にも愛されないのだからこの場から消えていなくなりたい』
純粋に愛し愛されるはずだった関係を、AC自らの手で破壊してしまうこともあります。
子供が人間関係に失敗したを知り、毒親は勝ち誇った顔で救いの手を差し伸べてきます。
『だから上手くいくはずがないと言ったんだ』
『親の言う通りに大人しくしていれば間違いがないのだ』
『今後は親の言うことに文句を言うな』
失意の中、再び毒親の元に戻ってしまい、自立を諦めてしまった子供は、
親の支配下に置かれることで更に自己否定感を強めていきます。
このように子供の人生に長く悪影響を及ぼし続けてしまう原因は、
機能不全家族の毒親による子供への支配欲=モラハラに他なりません。
また、毒親による支配は2.で前述した『アスペルガー型』の影響により、
子供の自尊心は著しく損なわれ、支配関係はより深刻なものとなっていきます。
その理由は情緒から気持ちを読み解く能力が欠落しているからです。
ここで間違えてはいけないのは、モラハラは立派な人権侵害行為であるということです。
問題行動を毒親が正しく認識して改めてくれるかもしれない。
そう期待する方もいらっしゃるでしょうし、私も本当はそう考えたいです。
しかし残念なことに、人はそう簡単に自分を改めることはできません。
変わることが出来ないからこそ、その人はずっと『毒親』なのです。
毒親の改善を期待するよりも、まずはAC自身が変わるべきなのではないでしょうか。
時間は自分のために使うべきですし、なにより有限であり貴重なものです。
5.モラハラをする心理
毒親に限ったことではありませんが、モラハラなどハラスメントを行う加害者は、
自分が一番の常識者であると信じて疑いません。
自分が言うことは正解だと捉えているため、相手のことは必ず否定から入ります。
そもそも共感性がありませんので、自分以外の人を理解しようと興味を持ったり、
相手の気持ちに寄り添うということもなく、それがどのようなものかすら分からないのです。
自分が常に支配しコントロールするべきだ、それが正しいと本気で考えて行動しています。
モラハラになるのは、言う通りにしない相手のせいだと本気で思い込んでいるため、
彼らにとっての『正義』が修正されることはありません。
相手を正しい方向へ導く、という大義名分がありますから、
圧力をかけようがハラスメントになろうが正しいことであり、当然であるという論理です。
時に反抗的な相手ならば、高圧的に脅して袋小路に追い込んだうえで、
相手がひるんだところで、最後に少しだけ譲歩したようにみせるのです。
そうすると追い込まれた相手は、最後に譲歩してくれたと感じ、
図らずも加害者に感謝さえするようになります。
このようにして上下関係や力関係を相手に分からせようとします。
彼らの頭の中にあることは常に『上か下か』という概念です。
このようなコミュニケーション手段しか持たない人間は、
親子・友人・会社関係でも同じようなコミュニケーション手段を使うため、
そもそも精神的に自立した人間はその人物の危険性を察知すると即離れていきます。
ACのように自己肯定感が低く、愛情の渇望から依存傾向にある人間は、
「自分が悪いから愛されないのだ」
「愛されたいなら我慢しなければ」
と自らを責めてしまうため、モラハラ者の思うツボにはまり込んでしまいます。
自立前の子供が毒親に洗脳されてしまうのは、経験値も低く止むを得ないことかもしれません。
6.機能不全家族の典型的パターン
ACが形成されてしまう典型的な機能不全家族は、
夫がモラハラ者・妻が被害者のカサンドラ症候群に陥るパターンです。
もちろん、これが逆の立場である事例もたくさんあります。
カサンドラ症候群とは、モラハラなどで支配する夫に隷属する妻の状態を指します。
『夫がモラハラをするのは自分が夫を怒らせたからだ』
『夫を不機嫌にするダメな自分、夫の攻撃は我慢しなければならない』
『モラハラのあとは謝ってくれるから、そのうち変わってくれると信じている』
そんな自己肯定感の低さから、安易に夫に従属してしまう妻のパターンが一般的であり、
夫はそのような他人本位の妻が離れていかないように上手く転がしてコントロールしています。
そんな不安定な夫婦の間に立つ子供は、その家庭内の居心地の悪さから、
夫婦の間で緩衝材の役割をするようになります。
自分がピエロになることで両親の関係を良くしようと動いてしまうのです。
これがアダルトチルドレン(子供が大人のような振る舞いをする)と呼ばれる所以です。
父親の支配下にいる母親は、常に父親の顔色を見ながら生活しているため、
そばで様子を見ている子供も同じように両親の顔色を見て生活します。
自分はどう立ち振る舞えば、少しでも居心地のよい家庭になるかを考えるのです。
無償の愛(条件のない愛情)を得て自分に自信をつけていく成長期途中の子供にとって、
条件のある愛情は非常に難しく、経験値が低いために大きなストレスとなるでしょう。
家庭内がギクシャクしてしまうと両親の自尊心が傷ついてしまうため、
板挟みにある子供が苦しんでいることにも気付かず、表向き取り繕って家庭を死守しようとします。
それは上手くいかないことで被る自己否定を避けたいからに他なりません。
支配隷属関係の夫婦は、それぞれの人生を尊重する道は決して選択しません。
表向きの平和を取り繕ったまま、板挟みになった子供を犠牲にし続けます。
『自分が選択した結婚という人生は失敗だったのか?』
この自己否定につながる事実は決して受け入れられないからです。
モラハラで家族を支配しようとする毒親は、同時にかなりの小心者でもあります。
家族を自分と対等な立場に置いてしまうと、相手の意向も受け入れなければならなくなります。
対等な議論は無駄な時間とし、常に自分が優先されるように仕向けたいがため、
上から相手をコントロールする人間関係が効率が良いと本気で思っています。
7.距離を置くことは重要
自分が毒親の影響を受けているのならば、どのようにしたらよいのでしょうか。
その方法はただ一つ、自立できる大人ならば毒親から物理的距離を置くことです。
決して親に理解してもらおうとしたり、改めて欲しいと訴えてはいけません。
自尊心を守ることが一番と考える毒親に『改める』という選択肢は存在しないのですから。
距離を置く=諦めること自体、ACにとっても自己肯定感を損ねる辛いことでしょう。
自分のありのままを、誰より親に受け入れて欲しいと思う気持ちは痛いほど理解します。
しかし残念ながら人は決して変わることはありません。
稀に変われる人間もいるのかもしれませんが、
確約のない我慢をいつまでし続けるのですか?ということです。
距離を置くという選択は、簡単ではないことは理解しています。
しかし離れなければ支配を受け続け、我慢を重ねて疲弊する自分という地獄しかありません。
我慢の結果、果たしてあなたに明るい未来は来るのでしょうか?
人間の我慢には必ず限界があり、我慢は一生続くものではありません。
この記事をご覧になっているあなたは、既に我慢が限界に来ていたのではないでしょうか?
人間の一生は有限です。
将来『あの時こうしておけば』と思っても『後悔は先に立たず』です。
変わるきっかけは周りが作ってくれるものではなく、自分にしか作ることができません。
なによりもまず自分を大切に考え、自力で立ち上がろうとしていれば、
周りからの援助は後から必ずついてくるものです。