モラハラをするパートナーとの関係は、もはや辛さしかありませんよね。
一方的な押し付けや傷つく言葉を吐かれたり、話し合いたいと思っても機嫌を損なうとフル無視される。
いっそ身体的な暴力でもあれば諦めもついて逃げるのだけど、一線は超えてこない代わりに精神的な暴力がキツイ。
知らないところでの浮気が見え隠れしているのに、そんな状態で体を求められるのが怖い。
体の誘いを理由もなく断るとまた機嫌が悪くなる。
これらを改善して欲しいけれど、また無視をされたり暴言を吐かれたらと思うと怖くて言葉に出せない。
暴言や無視や浮気など、これらは自己愛性人格障害者=自己愛者の特徴的なモラハラ行為なのですが、自己愛者に過ちを理解してもらおうと話し合いをしようとしたり、欠点を自覚してもらおうとモラハラを指摘することは却って逆効果で、あなたへの攻撃が増大します。
なぜなら、自己愛者は自分を変えたくないことに必死だから。
目 次
1.自己愛者は指摘を全て攻撃とみなす
※以下の人物の実例を織り交ぜながら解説していきます
A男(65歳)は共感性が著しく低く、円滑なコミュニケーションに難がある男性。
生育歴で周囲から甘やかされて育ち、実際の能力を越した過度な賞賛を浴び続けてきたため、選民思想があり優越感や自己陶酔に依存している。
サイコパス的(感情に左右されない)であり、経営者としてはある程度成功した。
自己陶酔を得るがために、妻も子供も親族も友人も自分のコントロール下に置き、優越感と自己陶酔の搾取と自分の引き立て役として利用した。
次第に違和感を感じた者たちは、本人から距離を置いてしまう。
彼にとって人とは理想を叶えるためのアイテムに過ぎず、相手を尊重する心は持ち合わせていない。
モラハラを行う自己愛者は、自分の欠点を指摘されたり、自分の理解と違う見解を聞いたりするだけで、それらは全て自分への攻撃であり、怒られていると認識します。
自己肯定感の認知が歪んでおり、自分は全知全能だと思うことで得る優越感に依存しているからです。
そのためどんなに周囲から認識の誤りを指摘されようと、自ら直そうとは決して思いません。
正すということは自己肯定感を下げることにつながるからです。
自己愛者にとって自己否定をするということはイコール死を意味します。
その理由については以下で事例と共に解説していきます。
(実例から)
A男は経営者としての自身の成功体験がコミュニケーションの武器でした。
新しい人間関係を構築する時には、相手の興味に関係なく自分の武勇伝を語り続けます。
逆説的にいえば、武勇伝に黙って耳を貸し、無条件に賞賛してくれる人でなければ長続きしないのです。
自分の話は時間を忘れて繰り返し聞かせますが、その一方で相手の話には耳を傾けません。
A男にとって会話とは優越感を得るためのツールであって、相手の人間性への興味ではないからです。
そのため、相手からの意見や批判は露骨に不快感を表し、話をブロックしたり怒りを表したりしました。
自分の優越感を傷付けるような会話は不必要であり、そんな話は自分への攻撃とみなすからです。
2.脳の発達が未成熟
脳の発達が未成熟であることの多くは、生育歴の段階で精神的自立が阻害されたと考えられます。
彼らは自分が批判されたり、自分の求めを阻害されると、防衛反応として批判を人格攻撃して捉えます。
批判的な意見は全く聞き入れないため、コミュニケーションに支障をきたすのです。
その原因として、幼少期から親や周囲から特別扱いを受けていたり、親から過度な賞賛を受け続けて、選民思想を植え付けられたこと、過度な過干渉。
その逆にネグレクト、虐待、ハラスメント、過度な否定・突き放しなども原因となります。
幼いころから特別な自分に自己陶酔してしまうと、その感覚は依存となるほど強烈な麻薬効果となります。
逆に、親から無償の愛を与えられず自己肯定感が下がり、心を許した人間に、渇望した自身の心を満たすよう過度に求めるようになります。
(実例から)
元々言動に発達障害を疑うものがありましたが、本人は社会的に成功していたこともあり、社会的に関わるだけの人間関係では大きな支障になることはありませんでした。
しかし極めて利己的な部分が社会モラルに反した行動に繋がっていたこともあり、巻き込まれた家族は常にストレスに晒されて辛い思いをしていました。
息子は家庭での行き場のないストレスから学校を休みがちになり、中学生から不登校を繰り返すようになります。
大学へ進学するも留年を繰り返して結果的に中退、社会人になるも一年と続かず、自宅に引きこもりとなりました。
息子には『(自身のトラブルは)父親の精神障害が影響した』と言わしめています。
それらも『脳の発達が未成熟』が原因であったと言っても過言ではないでしょう。
3.意見は全て攻撃だと捉える
自己愛者は他者からの否定に対し、直感的でゼロイチの激しい拒否反応をします。
彼らは『理想の自分』と『ダメな自分』という二つの認識の間で常に揺れ動いています。
彼らにとって周りからの賞賛は自己肯定感を埋めるためになくてはならないものなのです。
人から批判をされてしまうと、ダメな自分を認識させられる苦痛を伴うため、自己を守るため、批判をする人間は敵とみなして排除しようとします。
批判から身を守るために、自己防衛としてモラハラをするという形です。
批判や意見の内容については一切聞く耳を持たないため、興味すら持ちません。
それくらい彼らへの意見や批判は意味をなさないのです。
題名にある通り、彼らへの指摘は全てが無駄になると言っても過言ではないでしょう。
(実例から)
A男とはとにかく議論が出来ませんでした。
一般論について意見を交わしていても、批判でも異論でもないのに少しでも話が白熱すると、『何故そう感じるのか?』と問うただけで突然怒り出しその場を離れようとします。
そんな彼の常とう句は『君は一体どっちの味方なのか』
その言葉からも人は全て『敵』か『味方』という両極端な認識しかないことが分かります。
4.際立った選民思想・権威主義
彼らは基本的に自分に自己陶酔しています。
自己陶酔しなければ自己肯定感が埋められないからです。
それは生育歴の中で過剰な賞賛を浴び続けてきたり、親や周囲が特別視してきたために自己認知に歪みがあるからです。
基本的に他人を信用していないという認識もありますが、それ以上に優越感が強すぎて、周りを下に置いていることが強く影響しているのでしょう。
自分より下に見ている人の言葉は、内容問わず聞く耳を持ちません。
言葉を受け取ってみて吟味してから返す、という基本的なキャッチボールが不可能なのです。
しかし同時に、自分より上に見ている人の言葉は、必要以上に受け入れるという選民意識も見受けられます。
(実例から)
A男は自身の過去の栄光について自慢げに語ることが多く、相手の話のターンであっても、途中から自身の話にかぶせてしまう『話泥棒』な一面がありました。
端々に必ず有名企業や名の知れた有名人とのエピソードを混ぜて話し、『それくらい普通』『大したことはない』と悦に語る言動が多くありました。
自分の子供であっても同様で『褒めると調子に乗るから褒めない』という言動が日常的でした。
何をしても褒められない子供の心中を考えると心が痛みます。
5.自分の欠点は人に転嫁する
自己愛者はプライドの塊であり、優越感を損なわれるようなことが一番嫌いです。
自分が原因で上手くいかないことがあっても、それは全て相手のせいだとして責任転嫁します。
相手からすると失笑モノなのですが、自己愛者に反論しようものなら激しい反論を受けるか、「言い訳するなら今すぐ出ていけ!」などと、相手が困惑する極論を突き付けて自分の正当性を通そうとします。
自己愛者は自分を内省したり客観視することを徹底して避けます。
自分の問題は人に投影し相手の問題にすることで、自身の問題から逃げてしまうのです。
それは全てプライドを傷つけないため、歪んだ理想と優越感を自分の中で保ち続けるためです。
自分を守るためなら周囲の人間を傷付けても構わないという考えなのですが、そもそも共感性の欠如により、相手を傷付けてしまうかもしれないという考えには至れないのです。
(実例から)
A男が人とのコミュニケーションで重要視するのは、全て自分の居心地の良さのみ。
自分の理想通りにならないと露骨に不快感を表します。
家庭での生活は常にそのような感じでしたから、生育歴の中でずっと不満を抱えていた息子は、自立して程なくA男との縁を切ってしまいます。
その理由は、A男の家族を顧みない言動に我慢の限界を迎えたからです。
それほどA男が家族に対して行ってきた行いは、数多の裏切りや抑圧など酷いものがありました。
しかし、息子がなぜ親子の縁を切ったのか、A男はその理由が分からないと話します。
それを受けて息子は、これまでの思いを便せん10枚に綴ってA男に送ったのです。
手紙を読んだA男は一言「これは全て息子の妄想」と決めつけて、手紙を破って捨ててしまいました。
息子は父親との関係に悩み続けた挙句、やっとの思いで伝えた気持ちだったのに。
しかもあろうことか、A男は「ありもしない話をでっちあげて金の無心をする放蕩息子」と決めつけ、息子を精神病扱いし勘当してしまいました。
これまでの自分の行いに間違っていた点はひとつもなかったとし、全ては息子の妄言として片づけたのです。
6.自己愛者とはどう付き合えばよいのか?
自己愛者と関わることを避けられない人にとって、知っておきたいのは彼らとの「付き合いかた」です。
自己愛者は自分のプライドを傷つけられることを一番嫌います。
嫌だからこそとにかく攻撃するのです。
分かってもらおうとすればするほど、反射的な攻撃を受けますので要注意です。
上手くやっていくコツは、とにかく聞き上手に徹し続けて、相手に対し刺激的な言動は慎み穏やかに接すること。
自己愛者に対して怒りが沸くことも多いと思いますが、それが自分を守るための一番賢い方法です。
そして大切なことは、自分が一方的な我慢を重ねていて辛いと感じたら、すぐに自己愛者を遠ざける、あるいは逃げることは一番賢明な選択です。
それをせず、自己愛者から離れずにいるならば、それは自己愛者を受け入れたと同義です。
そうなると、自己愛者から離れることができないあなたの心の問題に変わります。
自己愛者と関われば関わって不当に利用されていると感じると、心や体の病気を患うこともあり余計に辛くなります。
本当の自分の幸せとは何かを考え、病的な自己愛を持つ利己的な人よりも、利他的な人と共に過ごす道を選択することを強くお勧めします。