夫45歳 自営業者
妻40歳 専業主婦
子供2人 小学生
「モラハラ夫から軟禁され続けた妻子の反逆 その1」
■別居成功!
意を決した妻は、夫にも同じカウンセリングを受けてもらうよう話しました。
すると意外にも、夫はカウンセリングを受けると、すんなり妻の願いを受け入れたのです。
夫は、自分の言動は全て正しく、妻のためにしていることであり、間違えていないと思い込んでいますから、カウンセリングでも否定されることはないし、寧ろ自分の考えを補完してくれると考えていたのでしょう。
夫のカウンセリングで語られた、夫の主張はまさに「自分は正しい」の羅列でした。
自欲のためにハラスメントを行う自己愛者がよく行う話術に「真実の中に嘘を上手く織り交ぜる」というものがありますが、この夫もまさにこの話術を駆使します。
カウンセラーは事実のジャッジは行わず、夫の主張を一旦受け取り、まずは夫婦関係の整理のために、お互い冷却期間を置く必要があること、妻の精神状態が落ち着くまで少し距離を置いてほしい、ということをお願いしました。
夫はカウンセラーの提案を受諾し、別居方法については夫の方から積極的な協力提案をしてくれて、夫婦は別居に至ることとなります。
夫と物理的な距離をとることができた妻は、やっと手に入れた穏やかな時間にホッと安堵したものの、これからの生活の不安が大きくて、別の恐怖に苛まれ続けるのでした。
■久しぶりに得た安息の時間
「夫が決めた別居方法とルール」を受け入れて、妻は子供と穏やかな時間を過ごします。
カウンセリングや精神科受診をしながら、すさんだ心は徐々に落ち着きを取り戻してきました。
しかし夫は、自分が決めたルールにも関わらず、自分の思う通りにいかず、自分の機嫌を取ってくれる相手がいなくなった現実に、段々不満を募らせていきます。
夫の方からまずはひと月の別居、と提案があったのに、別居から3日で不満を露わに別居無効を主張するようになったのです。
これまで自分の機嫌を妻子に取らせていたので当然の帰結です。
それまではカウンセラーへ不満をぶつけてきていた夫ですが、それでは埒が明かないと、一方的に約束を反故にして直接妻へ不満をぶつけるようになりました。
これは予想出来ていたことなので、妻には即座に弁護士を代理人に付け、行政のDV相談にも相談し、最悪な状況に陥った際のサポートをお願いしました。
やっと得た安息の時間が、別居から3日経たず破壊された妻の恐怖はとてつもないものだったでしょう。
相談した弁護士や行政の担当者やカウンセラーの
「DVにはキチンとNOを突き付けて離れなければ収まらないし、子や孫にも連鎖し得る悪性のもの。ここで連鎖を断ち切る勇気を出しましょう。」
という言葉に支えられ、毎日を何とか生きているという状態でした。
■夫の裏切り
子供と穏やかな時間を過ごしていた妻とは裏腹に、夫は日に日に怒りを増幅させていきます。
自分が提案した別居方法にもかかわらず、自分の思う通りにいかないストレスをカウンセラーにぶつけるだけでなく、妻へ直接ぶつけるように。
トラブル防止の観点から弁護士を通すように伝えるも、今度は怒りの矛先をカウンセラーや弁護士へ向け、脅迫まがいな物言いをしてくるようになりました。
これは、これまでの妻へのハラスメントが他者へ移行したもの。
当然夫は内省するわけもなく、自分を変えることはできず、相変わらず自分の不満をハラスメントに変えて他者に振りまき続けるのです。
人は変わることは出来ません。
自分が変わりたいと心から願えば、その限りではありませんが、自分を変えるということは、それまでの自分を否定することと同じです。
そんな苦しみは誰も負いたくないのが本音でしょう。
そんな中、夫は妻が住む自宅へ夜中に突然押し掛けて、しつこく呼び鈴を鳴らしました。
その手にはバールが握られていたことから警察を呼ばれ、警察署へ連行されるトラブルとなってしまいます。
夫婦間のトラブルであったこと、実害がなかったことから、当初警察は民事不介入にしようとしました。
しかし、妻の代理人弁護士が警察へ何度も足を運んだ結果、ようやく被害届を出すことができたのです。
■夫の執着からの解放
警察へ被害届を出したことで、それを理由に離婚を申し立てることにしました。
同居時のハラスメントは物的立証が難しかったのですが、別居を約束したのにもかかわらず、突然深夜に押し掛けて暴力行為に及ぼうとした事実は、しっかり証拠として残ったのです。
妻は非常に怖い思いをしましたが、結果的に別居から離婚へと、一足飛びに駒を進めることができたのは思わぬ功罪です。
妻は離婚調停と婚姻費用調整調停を起こし、夫も憑き物が取れたように妻子への執着が取れ、新たな交際女性もいるせいか、その後はトントン拍子で離婚が決まりました。
財産分与や養育費など、妻の不満がない形で決めることが出来て、妻は明るい再出発が可能になったのです。
子供の親権・監護権も妻が取り、しばらくは面会交流も差し控えるという夫サイドからの申し出もあり、妻子は地獄だったモラハラの日々から完全開放されたことになります。
■自分の幸せは自分で勝ち取る
これまで長きにわたって、妻は「夫に変わるよう」求めてきました。
自分を変えることは出来なかったのに、相手に変わってほしいと願っていたのです。
モラハラをし続けられて嫌だと思っていたのに、ハッキリとNOを突き付けたり逃げることをせず、いつか夫が変わってくれるかもしれないと自分から行動を起こさず、現実逃避を繰り返してきました。
結果的に自分のみならず、子供まで辛い思いをさせてしまったことになります。
妻はカウンセリングでこう言っていました。
「子供のために自分が我慢しなければならない」
親だって聖人君子ではないのですから、我慢はいつか限界を迎えてしまいます。
人間、我慢をし続けられるほど、強い生き物ではありません。
親が理不尽な我慢をしていたら、子供も我慢をしなければならないと感じてしまう。
子供は無償の愛を受ける存在です。
理不尽な我慢が先に立ってしまうと、適切な時期に愛を受けられず大人になります。
すると、愛情に欠けた不安定な心を持ち、自他の境界線を越えて相手に依存するような大人になってしまうでしょう。
自分の人生を一から切り拓くことは容易ではありません。
だからといって嫌な気持ちを封印し、相手に依存執着し続けていく先は必ず破滅があります。
ましてや子供が一緒ならば尚のことです。
ひとりでは考えられないこと、決められないことは、是非公正公平な第三者であるカウンセラーに、一度ご相談ください。