「言っていることは正しいはずなのに、なぜかモヤモヤする」
「あの人と話した後は、どっと疲れが出て何も手につかなくなる」
もし今、あなたが人間関係でそんな「言葉にできない重苦しさ」を感じているなら、少しだけ立ち止まって、深呼吸をしてみてください。
私たちは、社会生活を送る中でたくさんの人と関わります。職場の上司、同僚、恋人、あるいは友人。その多くは、話し合えば分かり合える人たちです。けれど、稀に「どうしても通じ合えない」「関われば関わるほど、自分がダメになっていく気がする」という相手に出会うことがあります。
あなたが優しい人であればあるほど、「私の伝え方が悪いのかな」「もっと努力すれば分かってくれるはず」と、自分を責めてしまっているかもしれません。でも、もしその相手が、全く異なる心の仕組みで動いているとしたらどうでしょうか?
今日は、あなたのエネルギーを静かに、でも確実に奪っていく「危険な関わり」についてお話しします。これは、あなた自身を守るためのコラムです。
あなたの違和感には理由がある。「10の危険信号」
まず、あなたの心の中にいる「あの人」を思い浮かべながら、次の10のポイントをチェックしてみてください。これらは、他者の尊厳よりも自分自身の利益や保身を優先してしまう人に共通する特徴です。
1・共感が一切ない
あなたが勇気を出して打ち明けた悩みや痛みを、心配するのではなく「弱み」として握ったり、単なる「情報」として他人に言いふらしたりします。
2・嘘をつくことに躊躇がない
息を吐くように嘘をつきます。「バレなきゃいい」が基本ルール。もしバレても、悪びれることなく巧みな言い訳で逃げ切ろうとします。
3・手段より結果がすべて
ズルや不正、人を操ることを「賢いやり方」だと勘違いしています。誠実なプロセスよりも、手っ取り早い結果のみを重視します。
4・自分は特別だと思っている
「ルールは凡人が守るもの、自分は例外」という特権意識があります。遅刻や約束破りも、自分だけは許されると思っています。
5・対話が成立しない
彼らにとっての話し合いは「相互理解」ではなく、「相手を説得するか、服従させるか」の場です。あなたの意見は聞き入れられません。
6・批判を受けると被害者になる
少しでも指摘されると「攻撃された!」と過剰に反応します。自分に非があっても、「そうさせたお前が悪い」と責任を転嫁します。
7・人を上下で見る
相手が自分にとって利用価値があるか、ないかで態度が豹変します。目上の人には媚び、部下や店員さんには横柄になります。
8・過去のトラブルが多い
「前の職場が悪かった」「元恋人が酷い人だった」と言いますが、どこへ行っても人間関係のトラブルを繰り返している事実があります。
9・距離を取ると執着・逆恨みする
あなたが自衛のために距離を置こうとすると、異常な執着を見せたり、裏切り者扱いして攻撃したりします。
10・関わるほど自己肯定感が削られる
具体的な理由は説明できなくても、その人と会う前にお腹が痛くなったり、会った後に激しい動悸がしたり。身体が拒否反応を示します。
いくつ当てはまりましたか?
もし多くが当てはまるなら、あなたが感じている苦しさは、あなたの努力不足のせいではありません。相手の性質によるものである可能性が非常に高いのです。
ここからは、職場と恋愛、二つの具体的なシーンを通して、彼らの心の動きと、巻き込まれた側がどうなってしまうのかを見ていきましょう。
【事例1:職場にて】
「成果のためなら何でもあり」な同僚・Aさんの場合
あなたの職場に、仕事はできるけれど、どこか信用できないAさんという同僚はいませんか?
Aさんは上司の前では非常に愛想が良く、熱心に働いているように見えます。しかし、裏では部下や同僚に平気で面倒な作業を押し付け、その成果だけを自分の手柄として報告します。
ある日、プロジェクトでトラブルが起きました。原因は明らかにAさんの確認不足です。あなたがそれを指摘すると、Aさんは真剣な顔でこう言います。
「そもそも、あの時君がもっと早くリマインドしてくれれば防げたことだよね? 気が利かないなぁ」(ポイント:批判を受けると被害者になる、責任転嫁)
あなたは驚き、「えっ、でもあの時は…」と反論しようとしますが、Aさんは聞く耳を持ちません。「言い訳はいいから、どうリカバリーするか考えてよ。みんなに迷惑かかるよ?」と、まるであなたが悪いかのように論点をすり替えます。(ポイント:対話が成立しない、手段より結果がすべて)
周囲には「あの子のフォローで大変でね」などと嘘を吹き込み(嘘をつくことに躊躇がない)、自分は被害者として振る舞います。
あなたが誠実に仕事をしようとすればするほど、Aさんの「ズル賢さ」の踏み台にされ、手柄は横取りされ、ミスは押し付けられる。そしてAさんは、利用価値がなくなった同僚には挨拶もしなくなります。(ポイント:人を上下で見る)
こうした環境に長くいると、あなたは「真面目にやるのが馬鹿らしい」「どうせ何を言っても無駄だ」と無力感を学習してしまいます。これが、彼らが職場でもたらす「毒」の正体です。
【事例2:恋愛・パートナー関係にて】
「君のためを思って」と言う恋人・Bさんの場合
付き合い始めは情熱的だったBさん。でも最近、あなたはBさんといると常に顔色を伺ってしまっています。
あなたが仕事で失敗して落ち込み、「今日ちょっと辛いことがあって…」と相談したとします。普通のパートナーなら「大丈夫? 何があったの?」と寄り添ってくれるでしょう。
しかしBさんは違います。
「そんなことで落ち込むなんて、メンタル弱いんじゃない? だから君はダメなんだよ。もっと強くならないと」あなたの痛みには一切共感せず、逆に説教を始めます。(ポイント:共感が一切ない)
あなたが傷ついて「そういう言い方は悲しい」と伝えると、Bさんは不機嫌になり、「君のためを思って言ってるのに、その態度は何だ? 俺の優しさが分からないのか」と怒り出します。(ポイント:批判を受けると被害者になる、自分は特別だと思っている)
話し合おうとしても、「お前が感情的になってるだけだ」「そんなことは言っていない」と事実を捻じ曲げられ、いつの間にかあなたが「ごめんなさい、私が悪かった」と謝るまで会話が終わりません。
限界を感じて「少し距離を置きたい」と伝えると、今度は泣き落としをしたり、「別れるなら死ぬ」と脅したり、あるいは共通の友人にあなたの悪口を吹き込んだりと、極端な行動に出ます。(ポイント:距離を取ると執着・逆恨みする)
こうして、あなたは「私が彼を支えてあげなきゃ」「私がいけないんだ」という呪縛から抜け出せなくなり、自己肯定感はボロボロになっていきます。
心の防御壁を作るために
これらの事例を読んで、「これ、私のことだ」と胸が苦しくなった方もいるかもしれません。
最も恐ろしいのは、彼らが「普通の人」の顔をして近づいてくること、そして、あなたの「優しさ」や「誠実さ」をターゲットにするということです。
彼らは、自分の痛みを人に押し付けることで心のバランスを保っています。あなたが優しく受け止めれば受け止めるほど、彼らはあなたを「便利なゴミ箱」として認定し、依存と攻撃を強めていきます。
では、どうすればいいのでしょうか。
最大の防御策は、「相手を変えようとしないこと」、そして「物理的・心理的な距離を取ること」です。
彼らの言動には、「もっともらしい理屈」があります。しかし、そこに「愛」や「敬意」はありません。
「話せばわかるはず」
「彼にも良いところはあるし」
「私が我慢すれば丸く収まる」
その優しい期待こそが、あなた自身を縛り付ける鎖になってしまいます。
身体の声を信じてください。関わるほど自己肯定感が削られてしまうでしょう。
理屈で説明できなくても、会った後にどっと疲れる、電話の着信音を聞くだけで動悸がする、胃が痛くなる。それは、あなたの生存本能が「逃げて!」と叫んでいるサインです。
そして、その感覚は、絶対に正しいのです。
あなたは悪くない
もし今、あなたがそのような相手との関係でボロボロになっていたとしても、どうか自分を責めないでください。
あなたが弱かったからターゲットにされたのではありません。あなたが持っている「他者の痛みを理解しようとする力」「誠実に向き合おうとする姿勢」といった、本来素晴らしい資質が利用されただけなのです。
今回ご紹介した「10のサイン」は、あなたのせいではないことを証明するリストでもあります。このリストに当てはまる相手からは、静かに、少しずつ離れましょう。
反論する必要も、分からせる必要もありません。ただ、あなたの心を守るために、境界線を引くのです。
あなたは、大切にされるべき人です。あなたの言葉をちゃんと受け止め、痛みに寄り添い、対等に話し合える人は、この世界にたくさんいます。
どうか、その「やさしさ」を、あなたを利用する人ではなく、あなたを大切にしてくれる人、そして何よりアナタ自身のために使ってくださいね。
















